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ガイドの一般教養講座 研究発表vol.2:ガイディング研究所とは?

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文:リュウ・タカハシ
イラスト:Ryoko
2009年5月27日


 こんにちは、ガイディング研究所の仙人研究員、じゃなかった、専任研究員のリュウです。ガイドの一般教養講座へようこそ。

 e4MEDIAオープン記念で vol.1 と一挙同時公開だぃ、もってけ泥棒ッ!のvol.2のテーマは、「ガイディング研究所ってなぁ、何だぃ?」です。



■ ガイディング研究所って何? ■

 読んで字のごとし、です。

 なぁんていうと、「あ、シーカヤックガイドになるためのノウハウね」と思われるでしょうね。

 ブッブーッ。残念でした。

 と、ここまでは 前回 の最後ですでにやりましたね。

 僕は欲張りアマノジャクですから、「ガイディング研究所」ってのはけっこう壮大な誇大妄想的プロジェクトだったりします。
 詳しくは後述しますが、シーカヤックガイド研究所じゃなくて、ガイディング研究所にしてあるところにご注目。

 ですから「あっらぁ、アタシにゃ関係ないわね」って別のページに行こうとした奥さん、後生だからちょっと待っておくんなさい。

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■ ガイドの一般教養講座って何? ■

 僕の担当する「ガイドの一般教養講座」は、現場で顧客に接する際に必要な技術の基礎的概論です。
 わ、なんだか難しそうなこと書いてしまった。

 10年間のガイド経験で、ガイディング技術の基本は、観光バスガイドもシーカヤックガイドもエコツアーガイドも同じだと悟りました。さらに、ガイディング技術ってのはあらゆるサービス業に通用する技術だということも学びました。
 わ、また偉そうなこと書いてしまった。

 ってなこというと、どこからか「いっしょにするな!」とお叱りを受けそうですが、でも基本はホントに同じで、表面的なディテールが違うだけです。
 ですから対象をシーカヤックガイドにしぼりません。エコツアー、自然観察指導員、ホエールウォッチング、木登り、マウンテンバイクなどのアウトドア系ガイドはもとより、旅行添乗員や観光バスガイド、タウン観光ガイドにアマチュア週末ボランティアガイドなどなど、幅広いガイド業のヒントになるコンテンツを目指します。

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 そんなわけで、僕はシーカヤックガイドですが、この一般教養講座では詳しいカヤック実技は扱いません。
  もちろん、他所では役に立たないローカル知識、たとえば「マルボロサウンドがよく見えたら南風」みたいなものも扱いません。って、当たり前か。

 逆にここで扱うのは、世界中で(特に日本で)幅広く使えるガイディングの情報や技術です。たとえば「アウトドアガイドにゃ惚れちゃいけねぇぜ、お嬢さん」ってのは、万国共通の......、って、これはガイディング技術じゃないか。

 冗談はともかく、「ガイドの一般教養講座」では、欲張って広く深くガイディングの基礎技術を研究していこうと思ってます。



■ 表面的にはアウトドア ■

 とはいえ、観光バスガイドやタウン観光ガイドなどのタウン系ガイドに対象をしぼってノウハウを綴ると、アウトドア系ガイドには不十分なコンテンツになってしまいます。
 逆なら不要な部分を読み飛ばせばいいだけなので、汎用性が高くなります。

 というわけで、僕が念頭に置いてるのはあくまでも幅広いガイド業ですが、この「ガイドの一般教養講座」では、便宜上アウトドアガイドを対象として執筆することにします。
 バスガイドさんは「アウトドアガイド」と書いてあるところを「バスガイド」と読み替えたり、不要なとこは読み飛ばしてください。

 ちなみにアウトドア系とタウン系の最大の違いは、危険度です。つまり危機管理の部分に大きな差が出てくるわけですね。だからホントは読み飛ばさない方が良いとは思いますけど。



■ 一般教養の次は? ■

 一般教養とくれば、その次は専門課程です。もちろん当研究所だって、「専門講座」を妄想していますよ。

 たとえば商業アウトフィッターやNPOの経営運営講座だとか、ファーストエイド講座、危機管理講座、エコツーリズムとグリーンツーリズムの比較研究講座、ディープなビーチコーミング講座、山や川などの専門的フィールド研究、パドリング業と漁業の水面利用共存の道の研究などなど。う~ん、アカデミックだ、かっこいい。実は単なる思いつきで書いただけですけどね。

 あるいは先ほど一般教養では扱わないといったシーカヤックガイド実技論だとか、ラフトガイドが知っておくべき100の秘訣だとか、世界一の木登りガイドになるための訓練レシピだとか、世界を股にかけるエコツアーガイドになるためのノウハウ講座だとか、チップをたんまり貰えるタウン観光ガイド術だとか、そういう各論も専門講座でカバーしていきたいなぁと、壮大な構想誇大妄想はふくらむばかりで、ついついキーボードを叩く指もすべりがちです。

 ここまでやれば「ガイディング研究所」という名前も、そう誇大表現じゃなくなりますね。ちゃんとがんばろうっと。

 でも、こういうのすべてを僕一人でやるのは、もちろんムリです。専門講座を担当できる研究員を随時募集して、発表をお願いしようという壮大な妄想的プランなわけです。
 「我が輩におまかせあれ!」という研究員立候補は、e4編集部までお願いします。妄想を構想に変えるには、あなたの力が必要です!



■ オフラインで ■

 さらに、オフラインで実技をたっぷりカバーするイベントも開催していけたらと妄想たくましくしています。日本各地はおろか、将来的にはNZでもイベントができるといいなぁ、と。いや、他の国でもやりたいなぁ。ガラパゴスでエコツアー研修とか、いいですねぇ(妄想モード150%)。

 お問い合わせやリクエストはe4編集部までどうぞ。

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 「拙者が実技イベントを担当つかまつろう!」という実技研究員立候補のありがたいお申し出もe4編集部までお願いします。



■ 座学だけで、意味があるの? ■

 妄想に激しく脱線しちゃいましたが、そんなわけで「ガイドの一般教養講座」は、実技を省いた座学中心です。いくらブロードバンドが普及したとはいえ、オンラインで実技を解説するのは厳しいですからねぇ。

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 というと、体育会系ガイドから「座学だけで意味があるの?」という声が聞こえてきそうです。なるほど。

 当研究所の観察によりますと、「実技は強いが、座学系が弱点」というのが日本人アウトドアガイドによくある傾向のようです。

 カヤックガイドでたとえますと、漕ぐのはすごく上手でレスキュー技術もしっかりしてるのに、お客様の沈がやたら多いとか、しょっちゅうトウイング(牽引)してるなんてのは、きっと座学系の何かが欠けてるんです。

 他にも、


などなどなどなど、あげてるとキリがありませんが、どれも座学系に問題ありです(最後の二つをのぞく)。
 まぁようするに、「カヤックが上手ければ、カヤックガイドになれる」と思ってたら大マチガイの超カンチガイのスッチャラカチャ、というわけです。ガイドの仕事はむしろそれ以外の部分が大事で、さらにそのほとんどが座学系なんです。

 こういう勘違いって、実はエイベルタズマン国立公園の新人ガイドも似たりよったりなんです。でも先輩のマネをしてるうちに、デビュー一年目に克服できちゃうケースが多いようです。さすが「ハリウッド」

 残念ながら日本ではなかなかそうもいきませんね。
 だったら、このガイディング研究所が先輩の代わりになれるのではないかな、と考えているんです。いえ、信じているんです。あなたも信じましょう。信じるモノは足元すくわれる、じゃなかった、救われる、かもしれません。救われるといいなぁ。

 ともかく座学系が弱いと、実技どころの話じゃないですからね。まずはしっかり足元固めましょう。



■ あらためてご協力のお願い ■

 いろいろ御託を並べましたが、僕もまだ研究中の身で、すべてにすっきり答えが出てるわけじゃありません。皆さんのご協力でいっそう研究に磨きがかかりますので、よろしくお願いいたします



■ さらなる応用 ■

 あ、そうだ。さらなる応用を今思いついてしまいました。その場の思いつきは、大切です。なんせアウトドアガイドは、現場の応用力が勝負です(屁理屈なら天下一品の専任研究員)。

 これはガイディングの裏舞台を見せちゃおうという企画ですから、消費者にとっては「かしこいガイド選びマニュアル」としても読めちゃいますね。これはお得ですよ、奥さん!

 さらにさらに、座学系ガイディング技術の大部分は、一言でいっちゃえば「気配り術」です。ということは、この講座って異性にもてるために応用できちゃうのでは? 「ガイドの一般教養講座 - 副題:もてる技術」に改題しようかな。全国のもてない皆さん、しっかり購読してくださいよ。

 え? オマエはもてるのかって?
 えっとですね、コホン......。え? なに? あっ、時間ですか? 残念ですが、じゃ今回はここまでということで。

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■ 今回のまとめ ■

  1. 当研究所専任研究員リュウは、ガイドの一般教養講座を担当します。
  2. 一般教養座では、日本で幅広く通用する座学系ガイディング術を研究します。
  3. PCの前でアウトドア実技を練習するのは、難しいです。
  4. 当講座は、かしこい消費にも貢献します。
  5. 当講座で、もてもて度も150%アップです(当研究所比)。
  6. 研究員リュウは、仙人です(願望100%添加済)。

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■ 次回予告&宿題 ■

 さて、お待たせしました、次回からいよいよ本格的に「研究」っぽくなりますよ。テーマは「クレームあれこれ」です。いきなりアカデミックっぽいですねぇ(どこがだよ)。

 宿題は、「今までに聞いた(体験した)ことのある、とんでもないクレームを三つリストアップしておくこと」です。アウトドアツアー関係にしぼって考えるとなかなか難しいと思いますから、旅行・観光に関するクレームなら何でもいいですよ。
 編集部まで回答をお寄せいただけると、もっとうれしいです。研究にご協力を!

 ではまた!



■ オマケ ■

【ガイド小噺こぼればなし 其の壱】

 あれは2003年か2004年くらいだったでしょうかね、二泊三日のシーカヤックキャンプツアーに、ちょいと毛色の変わった三人組様がいらっしゃいましてね。
 二十歳くらいのアメリカさんの女の子と、お父さんはそうですね四十代後半から五十代前半くらいでしょうか。えらくよく似た親娘で、そろって長身色白面長のイケメンで、たいへん物静か。といいますか、正直に申しあげますと、まぁちょっと陰のあるタイプとでもいいましょうか。う~ん、どうも「ガイドの本能」で奥歯にモノがはさまっちゃってますな。ガイド根性すっぱり忘れて、ハッキリ「無口で暗い」っていっちゃえばスッキリするのに。

 えぇ~っと、この二人といっしょだったのが、二十代前半のマレーシア人の男の子でございまして。日本人は若く見えるなんてよくいわれますが、あの国のシトってのもなんですね、我々以上に若く見えますな。ですからあんがい三十前後だったのかもしれませんが、とにかくこのシトが明るいの、シトなつこいのって。誰にでもニコニコ話しかけまくりで感じ良いったらありゃしない。アタシの出る幕なくなっちゃうよ、静かにしててくださいよ、お客さんってなもんでして。

 このマレーくんは娘の友達か彼氏だろうと見当つけてツアー開始とあいなりました。娘の彼氏と親娘の三人組ってぇと、日本じゃ「えぇっ!?」ってビックリされっちまぃますが、欧米人にはよくある話でしてね。ぜんぜん珍しくないんでございます。ちょぃと先を行ってますね、あちらは。

 ところがどっこい、娘はたいてい単独行動、マレーシア人くんはいつもお父さんといっしょ。あぁ、お父さんの年の離れた友人だったのか、と。

 ところが何かがひっかかりやす。ガイドの直感というヤツだな。
 そこで二日目の晩の焚き火のそばで、それとなく彼にきいてみたってわけだ、これが。

 「キミは娘さんの友達なの、それともお父さんの友達?」

 「ううん、友達じゃないのよ。僕、お父さんの彼氏なの、ウフッ」

 ......。
 ウフッときやがったか。質問待ってやがったな、のろけたい盛りのアツアツかよ。予想してたとはいえ、やっぱきくんじゃなかった、クソ......。

 いやね、アタシゃ昔っからホモセクシャルの知人友人がけっこうおりましてですね、偏見なんかちっともないんでございますよ。
 ですがね、ホモカップルが娘連れで旅してるってなぁ、さすがにちょぃとばかし仰天たてまつりましたでございますよ。
 いやぁ、まだまだ世界は広ぉございますな。

 テントは二人用を二つ渡しておいたはずですが、どういう組み合わせで使ってらっしゃったかは、もうすでに忘却の地平の彼方へと去ってしまいました。カヤックも二人乗りばかりだったんですが、どういう組み合わせで乗ってらっしゃいましたかねぇ? たぶん「何かがひっかかった」ってぇのは、こぉゆぅ とこが手がかりだったんじゃねぇかと思うんですが、きっとアタシもこの話は早く忘れたかったんでしょうな。

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しっかし、こりゃやたら長いオマケですな。オープン記念のサービスだぃ、もってけ泥棒ってか。

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