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ガイドの一般教養講座 研究発表vol.25:災害ボランティア考

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文:リュウ・タカハシ
2011年3月28日
追記:2011年3月31日



■ お見舞い申し上げます ■

 こんにちは、ガイディング研究所提供「ガイドの一般教養講座」へようこそ。研究員のリュウです。

 2月末のクライストチャーチ大地震のショックからまだ立ち直りきっていなかったところに、今度は東日本が未曾有の大災害におそわれました。
 不幸にして命を落とされた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
 また不便な被災生活を送っていらっしゃる方々、怪我やショックに苦しんでいらっしゃる方々、原発事故の不安に悩まされていらっしゃる方々にも、心よりお見舞い申し上げます。



■ 災害ボランティア  ■

 例によって前回の予告を裏切ってスミマセン。この機会に災害ボランティアのことをちょっと考えてみたいと思います。
 リサーチ不足ですし、思いつき程度の散漫な内容でお粗末な限りではありますが、ともかく今後の課題として書きとめておくことにします。「日本の実情に会わない」とか「安全な海外から何いってやがる」などの批判、野次は覚悟の上です(なんせ日本の実情を変える必要を感じるから書くのですし、ここニュージーランドだって日本と同じく地震の巣ですから)。



■ ボランティア受け入れ体制 ■

 大震災発生から2週間たった3月25日になっても、被災地では県外からのボランティアを受け入れられない状況だそうです。

 ◎毎日jp「東日本大震災:ボランティア受け入れに苦慮 態勢が整わず」

 移動、宿泊、食料補給などの困難が理由だとか。これだけでも、いかに被害が大きいかを改めて痛感させられて、胸の潰れる思いです。少しでも早く、次のステップに向けて多くのボランティアが現地入りできるようになることをお祈りいたします。

 これで終わったんじゃ、小学生の感想文ですね。ガイディング研究所的には、もう少し書き添えたいことがあります。
 移動、宿泊、食料などの問題は理解しました。でもあえてそこをいったん棚上げし、「ボランティア受け入れ体制」そのものに注目してみました。

 ◎ITmediaエンタープライズ「東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧:第3回 震災におけるメンタルヘルスとボランティア 」

 そもそものきっかけの記事です。第3ページに
「ボランティアは、バラバラに参加するのではなく」
から始まる文章があります。
 おぉ、良いことおっしゃる、その通り!と思いつつ続きを読んだのですが......

「ボランティアは、バラバラに参加するのではなく、政府や公的機関やNPO・NGOを通じて参加することが望ましい。」


 ちょ、ちょっと待ってください、そんなに窓口がバラバラなんっすか!? 一個だけ「ここにアクセスすれば、ボランティア応募はバッチリ!」っていうサイトへリンクを張るとかは、出来ないんですか???
 文章は

「こうした機関なら、現地の危機管理責任者と合意・調整が円滑に行えるはずだ。ボランティアの好意が存分に力となるだろう。」


と続いていますが、Civil Defence & Emergency Management(以下CDEM)にほぼ一元化されている(用心して一応こういう書き方をしておきますが)ニュージーランドの仕組みに馴染んでいる僕としては、
「そうかぁ???」
と、ハゲ頭をひねらずにはいられません(蛇足ですが、実は僕、勤務先のネルソン市役所内でCDEMに異動希望を出しておりまして、随時トレーニングを受けつつ定員空き待ちです)。

 さらに神奈川県でアウトドアガイドやってる友人からも

「現状では、行っても何が出来るのか全くわからず、役に立つのかもわからないのに、現地で貴重な食料を自分のために食べるなんて考えられません」


とのメールが。

 気になってきました。
 僕が今日本に住んでいるとします。NPO、NGOなどには参加してないとします。でも今回はボランティアで被災地に行くことを思い立ったとします。そもそも団体行動は苦手なので、一個人として申し込みをしたいと思っているとします。
 そういうつもりで、情報を調べてみました。

 ちょっと検索しただけだと、色んなNPO、NGOは確かにヒットするんですが、フリーランスとしてボランティアを受け付けてくれるところは、どうも見あたりません。

 ウィキペディアで調べてみました。

 ◎ウィキペディア「災害ボランティアセンター」

 どうも一元化されてるようには見えません......。

 新聞社のサイトにも行ってみました。

 ◎毎日jp「震災ボランティア連携室」

 東日本大震災後の16日、官房長官直属の組織として設置されたとのこと。災害後5日もたってから、ようやく今回急ごしらえで窓口が設置されたわけですね。

 当研究所では、ご承知の通り危機管理講座を鋭意連載中ですが、その中で「対処ステージ」におけるスピーディな対応の重要性にふれ、まさにこの点が日本の弱点だということを再三述べてきました。
 研究発表vol.20では有事には現場が指揮官として機能すべきだと書きましたが、これもスピードを重視するからです。
 もちろん今回のような大災害時は、各現場が勝手に指揮官になったんでは逆に効率・スピードが落ちて混乱を招くだけですので、別途きちんとした指揮系統が必要です。その指揮系統は、災害後になってあわてて作るようなものじゃありません。

 ま、それはともかく。
 この震災ボランティア連携室と政府が連携して、被災地情報サイトをオープンしたことが分かりました。災害発生後11日もたってますけど、再び「ま、それはともかく」とつぶやきつつこのサイトにアクセス。

 ◎「助けあいジャパン 」

 ようやく、「情報」がある程度一本化できているサイトにたどり着いたような気がしました。

 でも結局これってポータルサイトなんですよね。この手のポータルは、実は民間にもあります。いちいちリンクしませんが、今回もYahoo!とかNHKとかの類似サイトを見ました。
 ボランティアのコーディネートそのものは、どうやら各団体に任されているようで、やっぱり統轄機関が機能しているようには見受けられません。
 つまり結局、僕のような「思い立った個人」がどうやって現地入りしようかと調べた時、団体リストを見て「どこに連絡すりゃいいのよ......」と途方に暮れる状況には、変わりがないわけです。



■ なぜ統轄的、一元的な仕組みが必要か? ■

 もっと統轄的、一元的な仕組みが必要なんじゃないですかねぇ。

 上記ウィキペディアの記事に、ボランティア団体同士の対立が記されています。そういうことも起こるでしょう。そもそもボランティアって、正義感と行動力にあふれた人です。ところが正義感ってのは、信仰心と似て諸刃の刃です。どういうものか、正義感や信仰心の強い人は、微差を大きな対立に発展させやすい性癖を持っているようですね。
 冒頭の「こうした機関なら、現地の危機管理責任者と合意・調整が円滑に行えるはず」に疑問を呈したのも、こういう理由でして。団体同士を調整する公的な統轄組織、必要なんじゃないですか?

 対立がなくたって、統轄的システムは必要ですよ。だって団体ごとに特色がありますよね。得意なことが違うはずです。「NPO 山で激しく遊ぶ」と「NGO 折り紙で育む地域の輪」(今適当に考えた名称です、実在団体と同名でも単なる偶然ですのでご容赦を)が、同じところで同じ仕事するってのは、変でしょ? ボランティアだって適材適所が大切です。

 ですから、各団体に任せっきりにするのではなく、それらの団体、および個人のボランティアを統轄する公的機関が必要だと、ガイディング研究所は考えております。



■ 一元化されたボランティア登録サイト ■

 「震災ボランティア連携室」は、災害ボランティアの統轄組織として常設とすべきです。各地の災害ボランティアセンターを地方支部として活用できます。
 この名前だと震災対応だけみたいなので、この記事ではとりあえず震災をはぶいて「ボランティア連携室」と呼ぶことにします。

 ボランティア連携室を常設にしたら、平時からボランティア登録をつのります。
 大切なのは、個人が直接登録できること。いちいちNPOやらNGOに登録する必要はありません。日本人には珍しいタイプかもしれませんが、僕のように「普段から団体に所属するのはマッピラゴメンだけど、有事には力になるぜ!」っていう一匹狼型には、こういうシステムが嬉しいはずです。
 もちろんNPOやNGOは、団体として登録し、各メンバーも全員個人として登録しておきます。

 登録者は、自分に出来ること・期間・地域、また逆に出来ないこと、連絡先などを記載しておき、災害発生時にはボランティア連携室が必要な人材を素速く検索した上で招集をかけられるようにしておくわけです。

 日本では、こういうのを各ボランティア団体がそれぞれに管理していて、お上にそれらを網羅した情報がなさそうです。これはどうにも心許ないです。必要とあらば、政府直々に団体も個人登録者も横断的に一気に検索し、「NPO○○全員と、NPO◎◎の●●さんと、NPO△△の■■さんと、個人ボランティアの□□さんを、南相馬市に招集」ってなことが出来なきゃ、やっぱり効率悪いでしょう。

 登録システムだけでは安心できません。
 今回、フリーランスのボランティアとして東北入りしようと情報を調べても、どうしていいかサッパリ分かりません。ですからボランティア連携室には、災害発生時にはフリーランスのボランティアが手軽にウェブ上から参加申し込みが出来るシステムも実装していただきたいです。

 そして現地の活動においても、全ボランティア団体、全ボランティア個人に対して、ボランティア連携室が統轄的な立場に立つわけです。
 この程度のシステムで、ボランティアの効率は非常にアップするはずです。ね、やりましょうよ>日本政府危機管理対策



■ ニュージーランドの場合 ■

 こんなことを言うのも、ニュージーランドではどうやらそうしたシステムが機能しているらしいからです。
 実はきちんとリサーチしたわけじゃなくて、僕の個人的な体験にもとづく推測なんですが、それをお話ししましょう(リサーチは、また後ほどやります)。

 僕はネルソン市役所内のCDEMネルソンタズマン支部に、ボランティア登録をしています。念のため申し上げますが、CDEMは政府組織です、NPOとかNGOではありません。
 2月22日のクライストチャーチ震災直後、CDEMネルソンタズマン支部が、ネルソンチーム(主にネルソン市役所、タズマン郡役所のボランティア訓練ずみの職員で編成)を組織して、すぐに現地にボランティアを派遣しました。

 ところが僕のところへは、現地のCDEM本部から直接ボランティア要請が入ったそうなんです。たまたま電話に出た僕のボスが「怪我してるから無理」と断ったので、僕が直接話をするチャンスは無かったのですが、おそらくCDEM本部が日本語通訳要員を探して僕をみつけたのでしょう(行けなくて、非常に悔しい思いをしました......)。

 つまり、NZでは実際に、公的機関が統轄的にボランティアをきちんとコントロールしていることがうかがえたわけです。CDEMが適材に適所を投入すべく積極的にボランティア名簿を活用しているのを見ると、個人がボランティア参加しようとしてもどうしていいか分からない日本とは対極だと感じます。



■ 現地入りに必要なトレーニング提供:アウトドア技術 ■

 同じくボランティア連携室にやっていただきたいことは、登録者に対するボランティア訓練の提供です(もちろん平時ですよ)。

 ◎日経ビジネスオンライン「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える:こんな時だからこそ、自分の仕事をちゃんとやろう!」

 研究発表vol.23でもとりあげた日経ビジネスオンライン連載のフェルディナント・ヤマグチ氏の記事です。筆者のお友達の精神科医の発言を引用させていただきます。

「でも考えてみてよ。いても立ってもいられないと言って、シロートが被災地に駆けつけたところで何ができる?少なくとも自力でビバーク張れる人間じゃなければ行くべきじゃない。ハッキリ言って邪魔になるだけ。新潟の地震があった時もそうだった、"とりあえずっ"て人間が押し寄せて、現地では持て余し気味だったんだ。でも根っこが"善意"だから、迷惑です。来ないで下さいと正面切って断ることもできなかった」


 ということは、逆にいえばとりあえずビバーク、サバイバルを中心とした訓練をすれば、災害発生直後でも迷惑をかけずに現地入りできるボランティアの数が飛躍的に増える、ということですよね?
 ならばここは一つ、ボランティア連携室に国家予算でぜひとも訓練プログラムを組んでいただきたいところです。



■ 現地入りに必要なトレーニング提供:メンタルケア技術 ■

 災害ボランティアに必要なのはアウトドア技術だけじゃないですよ。こちらをご覧ください。

 ◎ITmediaエンタープライズ「東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧:第3回 震災におけるメンタルヘルスとボランティア 」

 先ほどのと同じ記事ですが、今度は2ページ目にある「ボランティア希望者に5つの問い」にご注目。よくまとまっています。
 ただし当研究所だったら、5番は以下のようにします(太字が当研究所追記部分)。

5. 被災地で窮状を訴える厳しい声を優しく包み込む心の広さがあるか? 被災者から罵詈雑言を浴びせられても笑顔を崩さないでいられるか?


 ネルソン市にはクライストチャーチ難民が数多く身を寄せています。この事態を予測した市当局は、市役所職員全員に対して、
「被災地から精神状態がきわめて不安定な難民が数多く到着することが予想される。激怒しやすい彼らに、いかに対応するか?」
というテーマでメンタルトレーニングを提供しました。
 実際、避難先の市役所職員なんてのは、八つ当たりするには格好の相手でして、この手の話は被災後一ヶ月以上たった今も実際に起こっているようです。地震直後、難民到着前のタイミングでこのトレーニングを実施したネルソン市は、我が職場ながらアッパレだと感じます。やはり危機管理は先手必勝です。

 被災地に乗り込んでいくボランティアだって、同じような目にあう可能性は小さくないでしょう。メンタルケアのトレーニングも、ボランティア連携室がぜひ提供すべきです。

 メンタルケアの話、もう少し書かせてください。
 研究発表vol.20他で書きました通り、僕は災害時の収容避難場所職員、および所長のトレーニングコース(これも実はCDEM提供)を受講したことがあります。
 最初に引用した毎日jpの記事の中には中学校卒業者が避難所でメンタルケアのボランティアにあたっていることが記されていました。
 NZの避難所には、まずメンタルケアのプロがまっさきに駆けつけてきます。そして、彼らプロの指導の下、事前に訓練を受けているボランティアが被災者の心のケアにあたる、という仕組みです。
 中学校卒業者のボランティアは、もちろん心温まるとても素敵な記事でした。でも、彼らがあらかじめ訓練を受けていたとしたら、もっと素晴らしいと思いませんか?

 アウトドア技術にメンタルケア技術、これでもう安心! さぁ現地入りだ!
 と思ったら大間違い。もう一つ大事なトレーニングがありますよ。



■ 現地入りに必要なトレーニング提供:ファーストエイド ■

 そう、ファーストエイドです。被災地に行くというのに、応急処置もCPRも知らないってんじゃ、お話になりません。

 ファーストエイド講習そのものは、日本でも赤十字や消防署の主催で比較的普及しているようです。
 でもガイディング研究所の視点では、日本の講習はCPR訓練に重点を置きすぎていて、被災地で怪我、疾病に対処するのには十分とはいえません。実はこれ、アウトドアガイド向けのファーストエイド講習がないっていうのと同義なので、当研究所としては以前から非常に重大な問題だととらえていることなんです。

 これを機に災害ボランティア用に特化した訓練(=アウトドアガイドにも有益な講習!)を、ボランティア連携室が率先してプログラミングするというのは、良いアイディアだと思うのですが(もちろん実際の講習は、赤十字や消防署に委託でしょう)。

 で、欲をいえば、これらのボランティア用トレーニングは、学校教育にも取り入れていただきたいんですよね。小学生にはちょっと早いかもしれませんが、中学校くらいから少しずつ。そうすれば次世代は、「危機管理に強い日本人」といわれるようになると思いますよ、ホント。



■ アウトドアガイドなら ■

 さて。
 もう言うまでもないかもしれませんが、アウトドアガイドの皆さんは、ビバーク技術をはじめとしたアウトドア技術、サバイバル技術、そしてメンタルケア(カスタマーケア)技術、そしてファーストエイド技術をすでに持っているわけです。
 がんばって現地入りしてください。もし上記の提言のようにボランティア登録システムが出来たらイの一番に登録し、トレーニングシステムが出来たらぜひともトレーナーとしても活躍してください。
 今回のように、移動、宿泊、食料などに問題があって、県外のボランティアを受け入れにくい場合でも
「アウトドアガイドさんだったら受け入れます、ぜひともすぐに来てください」
と言ってもらえるようにならなきゃ!



■ 被災地に行かないボランティア ■

 収容避難場所の職員トレーニングで習ったことの一つに、「支援物資の山」が被災地の大問題である、という話がありました。消費しきれない生鮮食品が山積みで腐っている様子、体育館が床から天井まで古着で完全に埋まっちゃってる様子などのスライドをみせられました。NZだけじゃなく、中国、アメリカ、日本、色んな国の被災地の様子です。
 腐った食品は疫病の元です。使い途のない古着で埋まった体育館だって、本来は避難者収容とか対策本部とか、他の用途に活用したいところ。

 これら余り物の処理には、それなりの人員が必要です。つまり、お金と時間の無駄なんです。ただでも人手もお金も時間も足りなくて困っている被災地なのに。

 つまり、フェルディナント氏の記事のドクターは正解なんです。
 もちろん、今回の東日本のように桁外れの災害の直後は、お金より物資が必要な場合もあるでしょう。それでも「被災地から要請があった物だけを、要請があった量だけ送る」という原則は、遵守すべきです。

 今回ウェブ上で見ている限り、この点に関してはとてもよく気をつかって支援を試みている情報が多く、安心しました。
 やはりウェブ上で、アウトドアメーカー主導で不要アウトドア用品を供出して被災地に送る運動を見かけました。友人知人もたくさん協力していたようですが、それら供出物資も上記原則にのっとり、決して被災地に余計な負担をかけるようなことになっていないことを祈っています。

 前置きが長く脱線気味になりましたが、要するに
「募金活動は、常に最良のボランティア活動である」
ということです。しかも、世界中どこにいてもできるボランティア活動なんです。

 自主的な献金は、被災直後なら世界中から一気に集ります。でも人の噂も七十五日、やがて自主献金は途絶えます。
 なにも75日も待たなくたって、別のとこで別の災害が起こったら、人心はそちらに向きます。東日本震災はクライストチャーチ震災のわずか17日後に起こりました。クライストチャーチに支援金を送ろうと思ってる人は、今の日本にはほとんどいらっしゃらないはずです。まして、自主的にハイチに献金しようと思ってる人、日本に何人いらっしゃるでしょう?
 ですから、被災地の役に立ちたければ、募金活動が一番です。

 海外在住の日本人の間では、献金者に折り鶴を配る募金活動が同時多発的に広がっています。僕たちも地元の町で同様の活動をはじめました。地元にも「何かできないか?」と考えている人が多く、身近な募金活動の存在は彼らにとっても大きな心の支えになるようです。こうなったらこの活動、コミュニティをどんどん巻き込んで、出来る限り細く、長く、楽しく、無理せず、ボチボチ続けていくつもりです。

 被災地はとにかくお金が必要です。何かしたいが、何も出来ないと思ってらっしゃる方、まずはともかく送金しましょう。さらに、お友達と連れだって募金活動をしましょう。会社内で、町内で、趣味の仲間で、同窓生で、駅前に立って、商店街と協力して、などなど、やり方はいくらでもありますから。

 ちなみにお金だけをお願いする募金活動だって、やっぱり限度があります。同じ人がそう何度も何度も同じ募金箱にお金入れてくれるもんじゃありません。
 ですからモノを売って、売り上げを献金する形の方が持続性が高いですね。我が町も、今は折り鶴と交換でやってますが、そのうち食べ物や古着の販売を取り入れていくつもりです。



■ 追記(2011年3月31日) ■

 この記事を公開したら、色んな情報をいただけました。ありがとうございました。中でも特に重要と思われるサイトへのリンクを二つ追加します。

 ◎「東日本大震災支援全国ネットワーク」

 記事を上梓しただんかいで、連携組織はすでにたちあがっていたようですね。僕の提案したお上が主導する公的機関ではないようですが、きちんと機能しさえすれば、官でも民でも一向にさしつかえありません。ざっと拝見したところ、必要な情報が分かりやすくまとまっていて、今までのポータルサイトよりも使いやすく感じました。
 今後は上記提言のように、個人登録を受け付けて特性ごとに招集が可能なシステム、訓練システムの実現を、強く希望します。がんばってください。

 ◎「どこに寄付をしたら、どこにお金が行くのか」

 募金活動に関しては、この調査が興味深いです。急いで送りたいとか、時間がかかっても良いから公平な分配を希望するとか、特定の活動を支援したいとかで、寄付先を選ぶことも大切かもしれません。

 皆さん、情報、議論、ありがとうございます。今後もこの件、こちらでもリサーチを続けたいと思います。



■ 今回のまとめ ■

  1. ボランティア受け入れ体制の統轄一元化が必要です。
  2. 有事にすぐに活用できるボランティア登録システムが必要です。
  3. 有事に現地に送り込めるボランティアを増やすために、トレーニングの提供が急務です。
  4. ニュージーランドCDEMはボランティア登録も出来ますし、訓練も提供してくれます。
  5. アウトドアガイドは、トレーニングなしで現地入り出来る能力を持っています。
  6. 復興には莫大な費用が必要です。募金活動はいつでもどこでもできるボランティア活動です。
  7. 立て続けの震災に呆然とし、CDEMに異動がかなったとしても、本当に自分に勤まるのだろうかと、遅ればせながら足元がすくんでいる研究員リュウです。


■ 次回予告&宿題 ■

 次回こそ、前回の予告通り「危機管理『予防』の流れ その2」と題して、できあがった予防マニュアルを元に、日々の業務の中で予防対策を実践する際の注意事項についてふれてみたいと思います。
 マニュアルができただけで安心していては、やっぱり事故は防げません。というわけで、次回までに、日々の業務の中で予防対策を実践する場合の「落とし穴」を考えてみてください。回答例を編集部までお寄せいただけると、泣いて喜びます。研究にご協力を!



■ オマケ ■

 本文中に記した、我が町の募金活動の様子は、妻Ryokoが記事にしました。あわせてご一読いただけると嬉しいです。

 ◎e4MEDIA:NZ歯を食いしばってのんき暮らし「折り鶴に祈りをこめて」

 リンク先文末にもリンクしましたが、地元新聞に掲載された記事は以下(ただし一定期間がすぎると削除されると思いますが)。




The Motueka Golden Bay News
24 Mar 2011

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