テーマ [ガイディング研究所]
ガイドの一般教養講座 研究発表vol.28:効果的な訓練とは? - 危機管理「対処」
文:リュウ・タカハシ
イラスト:Ryoko
2011年6月25日
■ 傷が痛む時候...... ■
こんにちは、ガイディング研究所へようこそ。研究員のリュウです。
膝の皿をバラバラに割る怪我から、半年たちました。
ニュージーランドってスゴイっすよ。七つに砕けた膝蓋骨の全身麻酔手術を夕方やって、翌日の昼(術後わずか16時間!)には退院させようとするんです。
幸か不幸か夜中に高熱が出たんで一日のばしてもらえましたが、それでも翌々日の午前中に(まだ熱あるのに)シャワーを浴びさせられ、昼すぎには退院......。
診察だって1回目は退院1週間後、2回目はその2週間後、3回目はその2ヶ月後、そして4回目はなんとその3ヶ月後(怪我の5ヶ月半後)と、退院から半年の間にたった4回の徹底した放置プレー......。
ともかく先月末の診療(しつこいようですが、3ヶ月ぶりです)で、そろそろ金属除去してもいいだろうってことになりました。寒さとともに痛みがひどくなる一方なので、やれ嬉しやと思ったのもつかの間、4週間たってもまだ手術日程の連絡がありません。早くしてくれぇ、ピンが靱帯に引っかかって、すんげぇ痛いんだよぉ......。
医者やナースの対応は、おおむねこっちの方が親切で温かいんですが、こういう点では日本に負けるなぁと思ってしまったり。
ま、ぜいたくいえる身分じゃないんで、がんがんリハビリやりつつ連絡を待つ今日この頃です。
■ 対処アクションの方程式 ■
前回のvol.27では、ディズニーランドや学校を例に3.11震災直後の避難行動を検証しました。ちょっとまとめてみましょう。
事故や災害が起こったら、危機管理は「予防ステージ」から「対処ステージ」に切り替わります(研究発表vol.20:危機管理「三つのステージ」参照)。
ここで一番大切なのは、スピードなんですが、残念ながらこれが日本人の弱点です。そこでまず、スピードを殺す要因を考えてみましょう。何がありましたか?
まずパニックは世界共通の大問題です。ヒステリックな動的パニックはもちろん、大多数の人が起こす正常性バイアス(静的パニック)もやっかいなスピードダウン要因です。
日本人特有の要因には、上司への確認や責任感などがありましたね。
似たようなとこで協調性とか世間体なんかもやばそうです。「逃げてるのが私だけだったら恥ずかしいわぁ」とか「避難して空振りだったら笑われるかもぉ」なんていってるうちに逃げ遅れるなんて、いかにもありそうな話です。正常性バイアスを起こすと、こういう日本人的思考パターンに陥いりがちです。ここ、赤線ひいてよく覚えときましょう。
パニックも起こさず、責任感・世間体の罠にもはまらず、落ち着いて行動する心構えができてるのに、何をすりゃいいか分からないってのもありがち。あげくの果てにスピーディに財布・携帯・PCを取りに行ったりしてたら論外ですね。これは判断力欠如です。
他にもあるかもしれませんが、こういうのがスピードダウン要因です。
ではスピードダウン要因をとりのぞくには、どうすればいいでしょう? 三つあげてみてください。
- 避難訓練、対処訓練をおこたらないこと
- 責任、世間体などにこだわらず、最も速くて安全な策を追求すること
- 現場の判断を尊重するコンセンサスがあること
ってな感じでまとめてみましたが、いかがでしょう?
これを一言で津波てんでんこと表した先人の知恵ってサスガです。
2番目の「責任より安全を重視」ってのは、上記のように日本人の場合かなり訓練を要する点ですから、ひとまとめにしちゃうと
訓練 +コンセンサス = スピード
となります。対処アクションの方程式ができたようですね。
つまりスピードを支えるのは、結局のところ「訓練」です。すると別の疑問が出てきます。
「じゃぁどんな訓練をすればいいんだろう?」
ハイ、これが今日のテーマです。
■ 学校の避難訓練 ■
僕が紅顔の美少年だったころ、小中学生では確か次のような火災避難訓練やってました。
- 事前に避難訓練の告知がある。
- 予定通り、非常ベルがなる。
- 「○○室から出火」というアナウンスがある。
- 先生の指示でハンカチで鼻と口を覆う。
- あわてず静かに教室を出る。窓やドアは閉めるように指示された記憶がある。
- 走らず静かに、上履きのまま、決められたルートで校庭に出る。
- クラス委員が点呼して先生に報告(または先生が点呼)。
スピーディに記憶が失われつつある今日この頃ですが、ふざけてて先生にぶん殴られたことも含めて、かなり詳細に思い出せました。まさに訓練の成果!?
頻度は年1回だったと思います。
火元はいつも避難ルートに影響のない無人の部屋ばかりで、調理実習中に出火、ヤンチャな生徒のタバコでトイレから出火、ってなシナリオはありませんでした。ですから毎回同じルートで避難してました。
窓やドアを閉めるのは、火の回りを遅らせるためだったはずですが、スピードダウン要因ですから絶対やっちゃダメですね。開いてても気にせず、サッサと避難しましょう。
■ ネルソン市立図書館の訓練 ■
今の職場、ネルソン市立中央図書館の火災避難訓練は、こんな感じです。
- 館内をいくつかのブロックに分け、各ブロックに避難フォルダが備えつけてある。中にはそのブロックの避難行動と避難ルートを示したマニュアルと、腕章が入っている。
- 月に1回、担当者が全職員に対してフォルダ再読をうながすメールを送る(ここまでは「予防ステージ」の準備)。
- 事前告知なしで、開館時間中に非常ベルがなる。
- 職員は持ち場のフォルダに走っていって腕章をつけ、持ち場のお客様を誘導して館外に避難する。ドアや窓は無視。
- 集合場所で、腕章をつけた各職員が避難状況を担当者に報告する。
頻度は年に2度ですが、それと別に避難マニュアルで脳内シミュレーションを毎月やってますから、年十数回やってるようなもんです。
余談ですが消火器は僕が毎月チェック、さらに年に1回プロがチェックすることになってます。
注目すべきは、一般利用者がいる開館中の抜き打ちだという点。僕らも本番だか訓練だか分からないままお客様連れて逃げてるわけでして、かなり緊迫感あります、ハイ。
お客様の館外誘導って大変ですよ。
たとえば英語の通じない外国人ツーリストもたくさんいます。彼らは大きなバックパックを館内の隅っこに置いてたり、故郷の恋人とSkypeしてることが多いんですが、荷物を無視させ、恋人と引き離してどんどん脱出させなきゃいけません。逆に地元の人は「火事? また訓練じゃねぇの?」と動くのを渋ったりしますが、これも有無を言わせず連行。もちろんトイレで踏ん張ってるお客様をせかして連れ出す係だっています。
ね、仮に訓練だって分かってても、気楽にかまえてられる作業じゃないでしょ?
ちなみに「訓練ご協力ありがとうございました、館内に戻っていただいてけっこうです」というアナウンスきいて怒るお客様って、今のところ見たことありません。日本だとこうはいかないだろうなぁと思いながら、こういうとこでも危機管理意識の違いを感じてます。
■ ちょいと脱線 - 非常ベルがなったとき...... ■
あ、そうそう。
非常ベルが鳴ったとき、日本人って「誤作動?」、「訓練?」、「テスト?」と顔を見あわせ、すぐに動かないのが普通です。身に覚えある方、手をあげましょう。ほら、全員の手があがりました。僕もそうでしたから、恥ずかしながら挙手してます。
もうお分かりですよね? そうです、これが正常性バイアス+多数派同調バイアス(=非常呪縛)なんです。つまり昔の僕もあなたも、逃げ遅れて死にやすいタイプです。
今の僕はもちろん、誤作動だろうがなんだろうが、とにかく避難します。街中で自動車のバックファイヤーを聞いても「銃声かも」と身構えます。訓練で直るもんなんっす、ホント。
■ 役に立たない訓練とは? ■
本題に戻ります。
同じ火災避難訓練といっても、ずいぶんと差があるもんですね。さてここで問題、どちらの訓練がより効果的でしょう?
答えは明白なのではぶきますが、学校訓練にも一ついいとこがあります。実際の避難中には、正常性バイアスを起こして外履きに履きかえようとする子供が続出すると思われますので、「上履きのまま避難」を繰り返し訓練するのは、明らかに有効です。
でもこれ以外には、メリットをみつけられません。
さてさて。
日本人は「訓練」ときくと、機械的な反復で動作を身体にしみこませ、寝ててもできるようになること、ってなイメージを思い浮かべがちです。スポーツやお稽古ごとには不可欠な練習方法で、僕らアウトドアガイドもレスキュー技術習得にこの手の訓練を積みます。これを体育会系訓練と呼ぶことにしましょう。
日本の学校教育は暗記に偏りすぎという批判がありますが、これもいわば体育会系訓練ですよね。避難訓練にもそれが反映されていたようで、おかげで30年たっても思い出せました。
でも本番で役立つ訓練かといえば、大いに疑問です。
もし避難ルート途中の「3年2組」から火が出たら、「いつものルート」を叩き込まれているのがあだになり、正常性バイアスで燃えてる廊下を突破しようとする子が一人や二人ではすまないはずです。
調理実習中に火が出たら、その教室にいる子たちはどう避難すべきなのか、少なくとも僕らは一切教わりませんでした。
これじゃパニックを助長してるようなもんですねぇ。
しかも年に一回ですから、形骸化、自己目的化した役に立たない訓練といって差し支えなさそうです。
■ 役に立つ訓練とは? ■
対する図書館の訓練は、判断力や応用力を思いっきり要求します。
そうです、対処ステージの初期アクションでは、「判断力」や「応用力」がとっても大事なんです。事故や災害なんてものは、こっちが想定しているような都合の良い形で起こるはずがないからです。
3.11でも「想定外」という言葉が飛び交いましたが、当研究所にいわせりゃ事故や災害は想定通りじゃないのが当たり前田のフライングニールキック。
前回すべったギャグをもっと分かりにくくバージョンダウンしてしまいましたが、ともかくアウトドアガイドやってても、実際のレスキュー活動は訓練通りにいかないのが常識。本番では「げげっ、こんな状況の訓練なんか受けてねぇよ~っ!」とぼやきながら(or泣きながら)、現場で工夫してなんとかレスキューするってのが当たり前です。
勘違いしやすいとこなので、強調しておきます。
訓練の目的はもちろんスピードです。
でも、素速く消火器が使えるとか、1秒でも速く規定の避難ルートを駆け抜けるってのとは、ちょっと違います。こういうのが目的なら、もちろん体育会系訓練が有効です。
でもここで重視したいのは、事故・災害直後の混乱の中で一番スピーディな方法を「判断」し「応用」できる能力です。よく「走りながら考える」っていいますが、有事の対処モードに特に大切なコンセプトです。
もう少し具体的には
- パニックを起こさない
- 予防モードから対処モードに瞬時に切り替わる
- 冷静に状況把握して、上司の指示なしで判断できる
- 訓練と違う状況にも、応用力を発揮して対応できる
を目指した訓練が必要です。この四つがクリアできれば、スピードも達成できます。
アウトドアガイド、兵士、消防隊員、警察官などのプロはもちろん、学生アルバイトや小中学生にもこうした訓練が有効なのは、前回みたようにディズニーランドや片田教授が証明してくれました。
■ さらに具体的には? ■
こういう対処ステージ向けの脳ミソを鍛えるには、ワークショップ的、ブレインストーミング的な考える訓練が必要です。文化系訓練と呼ぶことにしましょう。
TDRスタッフはぬいぐるみを配ったそうですが、こういうのはまさに文化系訓練のたまものでして、いくら体育会系訓練を積んだってできるようにゃなりゃしません。彼らもきっと文化系訓練を受けていたに違いありません。
実際とは違うかもしれませんが、もし僕が同様の訓練を担当するなら、ショップのスタッフに、「大地震の後、ぬいぐるみはどのように活用できますか?」というクイズを出して、グループごとに使い途をディスカッションしてもらいます。子供を安心させる以外にも、防寒具、プロテクター、寝具、救急用具など色んな用途があるはずです。
もちろんぬいぐるみ以外のものも、同様にどんどん活用方法を検討します。
次に役割分担(お客様役とスタッフ役)してシミュレーション訓練です。中級者相手だったら、シナリオ自体を彼ら自身に考えてもらっても面白そうです。
別の機会には、「ここが燃えていたらどう避難する?」、「ここが崩れてたらどうする?」というルートファインディングの訓練も必要です。「車いすはこのルートは通れない。さてどうする?」なんて課題も、当然考えてなきゃいけませんね。
いくつかシナリオを用意して、「この場合は移動するか、とどまるか?」の判断シミュレーションもやっておかなきゃいけませんね。
アウトドアガイドも「その辺にあるものをフル活用して危機を切り抜ける機転」が生死を分ける鍵になりますから、この手の訓練は不可欠です。
手前味噌ですが、僕がプロガイド・ワークショップでシーカヤックのレスキュー実技をやるときも、参加者の皆さんには海上であれこれ悩んでもらうような形でプログラムを進めます。体育会系レスキュー訓練に慣れた参加者は最初とまどいますが、そのうち僕自身が「へぇ!」と思うようなアイディアが出てくるようになります。
参加者から「じゃぁこういう場合はどうだ?」、「ちょっと待てよ、こういう手もあるんじゃないのか?」、「この商材は、こういう風に避難用具として使えないか?」などと、アイディアがどんどん出てくるようになればしめたものです。スピーディに対処できる「危機管理脳」が育ってきてる証拠です。
これが対処アクションに必要な判断力、応用力を鍛える訓練です。
ちなみにネルソン図書館は、全員を対象にここまでていねいな文化系訓練はやっていません。というのも相当数の職員が職場安全担当官やCivil Defence & Emergency Managementボランティアの訓練を受けているので、上記のような訓練だけでも十分だからです。
もちろん、こういう手法の訓練だって、年に一回ではあまり効果は期待できません。がんばって頻繁にやりましょう。
こういうのをしょっちゅうやってるとアンテナが発達して、普段から災害や事故の情報に敏感になります。情報がたまると想像力がアップして、「この規模以上の地震だと、ウチのオフィスはダメだなぁ」とか、「○○mの津波が15分以内に来たら、避難ルートがないぞ」などと、「これ以上だと助からない」ってとこまで想定がエスカレートするはずです。
これは、パニックを起こさない脳ミソを鍛えるのに、とても有効です。また安易に「想定外だった」なんてアホな言葉も出てこなくなります。想像たくましくどんどん「最悪の事態をシミュレーション」するクセをつけてください。
ちなみに「想定外だった」って言葉を連発するのは、「想像力がありません、シミュレーションもしてません、つまり危機管理能力ゼロです」ってのを公表してるようなもんですから、少なくともアウトドアガイドはめったなことで口にすべき言葉じゃないなと思います。
危機管理能力ゼロで思い出しましたが、『きかんしゃトーマス』はヤバイっすね。英語版だと「Luckily no one was hurt」ってのが決まり文句ですが(森本レオはなんて言うのかな?)、毎回ひたすら列車事故の連続です。ソドー島に行く機会があっても、ぜったい線路には近づきたくありません。
■ 「体育会系」と「文化系」の使い分け ■
ここまで読んで、
「そっか、体育会はやっぱダメなんだな」
と溜飲を下げた文系もいらっしゃるかもしれません。
前言をひるがえすようですが、体育会系訓練がいつもNGだってわけじゃありません。もうちょっとクリアにしときましょう。
対処アクションにも、体育会系訓練が有効な決まった動作は少なくありません。
たとえばファーストエイドのCPR(心肺蘇生法)は、反復練習が必要です。アウトドアガイドが現場で使うレスキュー技術だって繰り返し体育会系訓練やらなきゃいけません。ロープワークだって、レスキューナイフでロープをスパッと切断するのだって、練習してなきゃ本番のふるえる手でスムーズにできるはずありません。落ち着いてれば消火器の使い方くらいその場で理解できますが、これだってあらかじめ身につけておけば、生死を分ける数秒が節約できるかもしれません。
ですから素速い動作には体育会系訓練、的確な判断力と応用力には文化系訓練と、キチンと区別して使い分けるのがポイントです。
もちろんガイドは、両方をハイレベルで、なおかつバランスよく鍛えておきましょう。
■ 今回のまとめ ■
- 対処モード初期には、スピーディな判断力と応用力が決め手です。
- 現場の判断を尊重するコンセンサスの明示は欠かせません。
- 方程式は「訓練 +コンセンサス =スピード」です。
- これを古人は「津波てんでんこ」と呼びました。
- 「対処モード」で機能する判断力、応用力は、文化系訓練のたまものです。
- 体育会系訓練は、単純動作のスピードアップに役立ちます。
- 誇り高きアウトドアガイドは、「想定外だった」なんて言葉を軽々しく口にすべきじゃありません。
- 危機管理の観点からは、『きかんしゃトーマス』は決して推奨できません。
■ 次回予告&宿題 ■
ここしばらく危機管理関連の講座が続きました。第二のステージ「対処」はまだ続くんですが、ちょっと気分を変えて、次回はリーダーシップについて考えてみようと思います。
今回は、特に宿題は出しませんが、もちろんご感想、論文などを編集部までお寄せいただけると、泣いて喜びます。研究にご協力を!
■ オマケ ■
【ロープワーク】
ロープワークができるとモテる、という人がいます。
モテません。僕をみなさい。
この勘違いの由来を考えてて、きっと団鬼六先生の小説だ!っと膝を打ったんですが、編集長から「違う! ぜったい違う!」と却下されました。大発見だと思ったんですが。
ま、モテるわけじゃないっすけど、ロープワークはアウトドア技術の基本中の基本、とっても大事です。
クライミング、ツリーイング、釣り、ヨットなんかは、ロープワークができないとお話にならないジャンルですから、彼らはさすがに上手です。
でもそれ以外のハイカーとかキャンパーとかマウンテンバイカーとかカヌーイストとかは、そのうち覚えようと思いつつ早幾とせ、相当なベテランになっても、「いやぁ、実はロープワークはちょっと......」って方が少なくないような気がします。
アマチュアならまだしも、ガイドがロープワークできないと大問題ですが、実際にそういう人けっこう見てきました。
国立職業訓練校ガイド養成コースの実技テストの試験官をやったとき、プロ顔負けの完璧なガイディングをやる学生を感心しつつ採点してたら、タープを張るのに30分以上かかりやがったので、「お前なぁ、ホントに大雨降っててお客さん待たしてたら、どーすんだよ、この大バガヤロ様!」とお尻蹴っ飛ばしたいところをグッとがまんして、その代わりロープワークだけ再試験にしたこともありました(笑)
でもロープワークって、そんな大変なもんじゃないですよ。片手で数えられる程度で十分なんですから。
たとえば僕が使うのは、幼稚園生でもできる止め結び以外には
- クローブ・ヒッチ(巻き結び)
- ハーフ・ヒッチ(ひと結び)またはトゥー・ハーフ・ヒッチ(ふた結び)
- ボウライン(もやい結び)
- アルパイン・バタフライ
- トラッカーズ・ヒッチ
くらいです。ほら、片手におさまるでしょ。
これだけできれば、キャンプサイトまわりはもちろん、自動車の屋根に大きな荷物を縛りつけるのも、崖下に落ちた人をレスキューするのも、庭仕事もぜんぶ間に合っちゃいます。自宅を大工と二人で建てたときも、なんだかんだでけっこうロープ使ったんですが、あざやかな結びっぷりで大工や建材屋のオッサン達を何度もアゼンとさせました。たった5種類なんですけどねぇ。
ロープワークの本には他にもゴチャゴチャのってますが、単なるページ数稼ぎです、覚えなくても大丈夫。上記の五つだって、最初の二つは「こんな簡単な結び方に、エラソウに名前なんかついてんの!?」ってなシロモノですし、残りの三つだって一日あれば楽勝で全部覚えられますから、屋外で遊ぶの好きな方は、ぜひとも覚えましょうね。
ガイドの場合は、これら全部目をつぶってても一瞬でできなきゃお話になりません。右からでも左からでも、向こうからでもこちらからでも、右手でも左手でもできるようにしておきましょう。ボウラインは片手でも結べるようにしておきましょう。
ま、ここまでやったって、やっぱりモテるようにはなりませんけどね。
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