テーマ [ガイディング研究所]
ガイドの一般教養講座 研究発表vol.10:危機管理「日本人の弱点?」
文:リュウ・タカハシ
2009年10月11日
■ 日本で危機管理とガイディングの講習 ■
9月19日(土)から10月10日(金)の三週間の日本滞在を終え、ニュージーランド(NZ)に戻ってきました。いつになくあわただしい滞在で、旧友と酒を酌み交わす時間もとれず、買い物もできずじまい。残念。
あ、ちなみに妻子はまだ東京の実家に残っています。というわけで、今回はRyoko画伯の挿絵はないままにアップして、後日追加ということになります。Ryokoの絵だけを楽しみに読んでくださってる方、ごめんなさい。
彼女の連載NZ歯をくいしばってのんき暮らしも、もう少し更新が滞りそうです。ご容赦ください。
それはさておき、実は今回の一時帰国は、偶然にも講習(講演)の打診を二つほぼ同時にいただいたことが発端でした。
そのうちの一つが、徳島商工会議所青年部からの「危機管理講座」のご依頼でした。
行って参りましたよぉ、徳島。いやぁ緊張しましたねぇ。ビジネスマン、しかも会社社長さん重役さんたちがずらりと並ぶ前に立つと、飢えたライオンの群れに出くわしたウサギといいますか、飢えた男子校に放り込まれたグラビアアイドルといいますか、そういう気分になりました。
でも熱心に聴いていただけました。喜んで頂けました。感無量です。無事終わったときは、このまま死んでしまうかと思うほどホッとしました(笑)
同会議所のブログにレポートが掲載されています。
◎藍風BLOG「平成21年10月2日 第3回会員例会開催報告 (報告者 研修委員長 北野雅史)」
こちらは参加して下さった方のレポート。
翌日は同会議所の希望者を対象に、街中の川でカヤックツアー。
実は前日(講演当日)、雨が降る中、同会議所研修委員長北野氏、ツアーを全面的にバックアップしてくれたフリークラウドの小前氏の三人で、下見のために漕いだんですが、これが思いがけないほど楽しい川で驚きました。
翌日本番は、雨の予報がはずれて晴天。最高のツアーになりました。
◎藍風BLOG「平成21年10月3日 第3回会員例会開催記念特別企画実施報告 (報告者 研修委員長 北野雅史)」
◎Free Cloud 瀬戸内通信「徳島の街でシーカヤック」
徳島、素晴らしいところです。またお邪魔したいです。
さらにこの日は、カヤックツアー終了後に大慌てで香川県高松市までとんぼ返りして、NPO法人アーキペラゴ主催の「ガイディング入門講座」の講師もつとめてきました。
つまりこの連載の実践版のようなことを、二晩続けてやってきたわけですね。
◎Gofield編集長の弁「ガイディング入門と直島ビーチクリンアップ」
◎Free Cloud 瀬戸内通信「瀬戸内国際芸術祭のガイディング入門講座」
さすがにこの段階では疲れが出てきてちょっと息切れ気味となってしまいました。講演はまぁなんとか頑張ってちゃんとやったんですが、打ち上げではすぐに酔いが回って悪酔いしてしまいました。飲酒危機管理をもうちょっと研究しなくてはなりません......。
皆さんお世話になりました。またよろしくお願いいたします。
■ 本当に日本人は危機管理が弱いか? ■
さて。
前回「僕は必ずしも日本人は危機管理が弱いとは思ってません」と書きました。本音です。
それじゃ日本人は危機管理が強いと思うかと問われれば、これまたそうも思いません。危機管理の強い国というと、別の国がいくつか頭に浮かびます。
世界各国からの観光客をながめていると、国によって危機管理にも色んなお国柄があるのがわかってとても面白いものです。当講座は比較文化研究じゃなくてガイディング研究の場ですので、他国の話はおいておきますが、今回はそうした観察をもとに、「日本人の弱点はどこなんだ?」というテーマに迫ってみようと思います。ガイドはお客様の傾向を知っておく必要がありますし、ひょっとしたら自分自身の弱点発見にもつながるかもしれませんからね。
■ 危機管理の三つのステージ ■
詳しいことは後日改めてとりあげますが、簡単にいいますと、危機管理には三つのステージがあります。
- 防止:事故や失敗を防ぐのが、まず最初のステージ。
- 対処:事故・失敗が起こってしまったら、迅速に対処。
- 処理:事態が落ち着いたら、事後処理。
大切なことは、それぞれのステージに適した形で危機管理をすること。防止ステージでは防止に努め、緊急事態が起こればパチンと対処モードに切り替わり、緊急事態を脱したら事後処理モードにスイッチする。当たり前といえば当たり前ですが、これが案外難しいようです。
ちなみにアウトドアツアーの場合、現場のガイドにとっては大切なのは第1ステージの事故防止と第2ステージの緊急事態対処で、第3ステージはどちらかというと内勤のホワイトカラーが主に担当するという感じになってくるでしょう。
■ 何が日本人の危機管理の弱点か? 其の壱 ■
弱点は色々あるとは思うんですが、まず最初にとりあげたいのが、「日本人は、予防ステージから対処ステージへの切り替えがうまくいかない」という点です。
自動車にたとえましょう。
防止の装備はグリップの良いタイヤ、見通しの良いボディデザイン、アンチロックブレーキなどです。事故を起こさないようにするには、こういう「自動車を安全に走らせる装備」が必要です。
対処の装備は、シートベルト、サイドインパクトバー、エアバッグなどです。ぶつかった時に身体をダメージから守ってくれる頼もしい装備ですね。
日本人を車にたとえれば、グリップの良いタイヤと高性能アンチロックブレーキを装備してるけど、シートベルトもエアバッグもサイドインパクトバーもついてない「ぶつかったら即死間違いなしの自動車」のようなものかもしれません。
たとえばアメリカは銃大国、犯罪大国ですから、あの国の人はNZの街中で自動車のバックファイヤーの音を聞いても、すかさず身を低くしようとします。談笑しながら歩いていたのに、「パンッ!」という音と同時に身を低くする対処アクションをとるのは、日本人にはなかなか真似のできない行動です。
■ 弱点其の壱は、克服できるか? ■
原因はたいへんシンプルです。訓練不足です。対処行動は、訓練でしか身につきません。
分かりやすい例をあげれば消防士や警察官や救急隊員なんかがやってる消火活動、逮捕、レスキューアクションなどが、典型的な対処行動です。アウトドアガイドのレスキューもしかり。こういうのは生まれつきできるもんじゃありません(いや、できちゃう天才も、きっとどこかにいるんでしょうけど)。
訓練をすれば、もちろん技術が身につきます。
でももっと大切なことは、瞬時に対処モードに頭が切り替わるようになる、ということです。この脳みそのスイッチングが、とてもとても大事なとこです。
ところが一般的な日本人は、事故を想定した「積極的な予防」ではなく、事故を避けておけばもう大丈夫という「消極的な予防」にかたよる傾向が強いようです。
なんでもかんでもとにかく避けようとしていれば、確かに事故率は下がります。ですから僕は「必ずしも予防は弱くない」と書きました。
ところがこの方法には大きな欠点があります。
まず第一に、「万が一の事故を想定する」という発想が欠落しがちなこと。避けておけばそれで大丈夫と安心してしまいがちなのです。
ですから事故が起こってしまうと、脳みそが切り替わらずに呆然としてしまいがちです。
そして第二に、とにかく避けよう避けようとし続ける結果、危険を見抜く目が育たず、安全ボケ、平和ボケになってしまうこと。この「危険を見抜く目」というのは、危機管理にとって最も大切な基本テクニックなので、そこが弱いとどうしても屋台骨の弱い危機管理になってしまいます。
どちらにしても、結果として事故遭遇時に「対処モード」に切り替えができない人間が出来上がってしまいます。
というわけで、比較的に簡単に克服できます。避けてれば大丈夫などと思わずに、事故や失敗に備えた訓練を増やせば良いんです。
一般の人は警官や消防士ほど極端な対処アクションを身につける必要はないかもしれませんが、少なくとも火事や地震のときに避難ができるとか、怪我人急病人がでればファーストエイド(応急処置)ができるくらいのことは、万人が心得ておくべきです。子供が怪我したとき、お母さんがパニックになってかえって処置が遅れるなんて話は、そこら中に転がってます。つまり、やっぱり訓練が必要なんです。
ガイドにはもちろん相当な訓練が必要なのはいうまでもありませんね。街中の観光ガイドでもファーストエイドや避難の技術は必要ですし、アウトドアガイドともなればレスキュー隊員に準ずるくらいのレベルが要求されるでしょう。
実際、危機管理が強いとされている国民は、こうした訓練の機会が多いんです。
たとえばNZの場合、ファーストエイドの受講率が日本と比べると桁違いで、それがそのまま危機管理意識や技術の高さに直結している印象を受けます。実はファーストエイド講習の内容そのものも、日本とNZでは天と地ほどの差もあるんですが、これはまた後日に回しましょう。
ともかく訓練をして、「対処モード」に頭を切り替える癖をつけることですね。
そうすれば、予防モードの方もただただ避けてればいいという進歩の望めない方法ではなく、積極的に予防策をたてて立ち向かう方法を採れるようになります。一挙両得。
■ 何が日本人の危機管理の弱点か? 其の弐 ■
これまた前回書きましたが、日本は叱る文化ですから、失敗や事故はついつい隠そうとする心理が、とても強く働きがちです。
かくいう僕だって30歳まで日本で育ちましたから、失敗を隠そうという心理がついつい働いてしまい、苦笑いすることがいまだにあります。三つ子の魂百までとはいいますが、なるほどこりゃ厄介だわぃと。
主に第三のステージ「処理」でやるべきことですが、事故はきちんとインシデントレポートにまとめて再発防止に役立てなくちゃいけません。そうしないと「せっかくの事故」が浮かばれません。
ところが事故隠しが多いんですね、日本は。どっかの自動車会社もリコール隠ししまくってました。やれ恐ろしい。つい先日は尼崎脱線事故の報告書漏えい問題で国土交通相がJR西日本に改善策報告命令を下しました。
こういうことが起こるたびにマスコミはさんざん叩きますけど、そのマスコミ各社だってどうだか分かったもんじゃありませんし、テレビの前で憤慨してたお父さんだって、いざ自分の会社で事故が起これば隠蔽工作に奔走する(させられる)かもしれません。個人レベルで考えると、誰でも失敗や事故は隠そうとします。誰にとっても他人事じゃないですよね。
実際に日本アウトドア界の事故隠しの話は、僕の耳にときどき入ってきます。なぜ隠してる話が、NZにまで聞こえてくるんだと不思議でしょ? 僕も不思議なんですが、有名ショップ、有名ガイドが一所懸命隠してる事故の話が、漏れ聞こえてきたりするんですよ。隠しきれるもんじゃないんでしょうね。
ダメですねぇ。隠してると、再発しますよ。自分が起こさなくても、他人が同じような事故起こしますってば。
■ 弱点其の弐は、克服できるか? ■
弱点其の壱は、訓練で克服できます。比較的簡単です。
それに比べると、事故隠し、失敗隠しは、もっと根深い日本人の習性のようなものに根ざしていて、少し厄介だなというのが正直なところです。
この問題にはですね、とにかく、畑村洋太郎先生の『失敗学のすすめ』をご一読されることを、強く強く強く強くお薦めいたします。
研究発表vol.5でちょっとふれましたが、実は畑村先生が失敗学を世に問い始めたのとほぼ同時期に、僕自身も日本シーカヤック界にインシデントレポートのシステムを紹介し、おそらく日本初、世界でもほとんど例のなかったオンライン・インシデントレポートBBSの起ち上げに関わりました。
でも海外からの無差別スパム攻撃に屈してあっさりと閉鎖に追い込まれてしまったのは残念でした。きちんとしたフィルターシステムを装備していなかったという、IT危機管理技術の未熟さが致命傷になったのですから、危機管理のシステムとしてはお笑いですね。
ただあのBBSの影響は多少日本のカヤック界に残っているようで、独自に似たようなことを続けて下さってる方は何人かいらっしゃるようです。
ま、僕のインシデントレポートシステムの失敗談はともかく、その間に畑村先生の失敗学は非常によく発展したようです。非常に参考になりますので、ぜひぜひ読んでみてください。
弱点其の弐が克服できるかどうかは、一人でも多くの国民がこの名著に目を通し、事故や失敗を隠すバカバカしさを痛感しないと始まらないと感じています。
ちなみに畑村先生は実名入りのインシデントレポートの大切さを強調されてますが、研究発表vol.5でご紹介した初心者シーカヤッカーへの道「CASE STUDY WORKSHOP」は逆に、誰も傷つけない匿名のシステムを究極まで推し進めた形の仮想事例のインシデントレポートというアイディアです。
僕にとっては両方ともなるほどとうならされるものがあります。このほかにもいろいろやり方はまだまだあるんだろうなと感じていますが、どちらにしてもこうして事故を今後の再発防止に役立てようという機運が高まっているのはすばらしいことですね。
■ 何が日本人の危機管理の弱点か? 其の参 ■
事故現場でサッと対処アクションが起こせないという問題には、別の要因もありそうです。
日本人だけの弱点ではないんですが、人間には「正常性バイアス」という困った現象が起こります。バイアスというのは心理学で偏見とか先入観を意味する言葉です。正常性バイアスもその一つですが、目の前で起こっている緊急事態、異常事態を、正常なものとして脳が処理してしまうという恐ろしいエラーです。
えっと、一概に困った現象とかエラーとかって決めつけると、ちょっと語弊がありますね。普段はこれのおかげで、社会生活がスムーズに送れてるわけですから。
でも緊急時に正常性バイアスが起こると、例えば燃えさかる地下鉄駅に通勤サラリーマンが普段通りノコノコおりていって焼け死んだりするわけです(1987年11月18日のロンドン地下鉄駅火災)。
記憶に新しいところで昨年6月の秋葉原通り魔事件でも、「次々とただ人が倒れていくだけで誰も悲鳴を上げず」という証言が報道されてました(YouTube「アキバ通り魔逮捕映像」)。
緊急時に大パニックが起こるというのは小説や映画では定番ですが、サバイバル研究者によりますと、実際にパニックを起こして事態を悪化させる人、たとえばホラー映画なんかだと、息を潜めて怪物が通り過ぎるのを待ってるときに、いきなり悲鳴を上げてしまうタイプの登場人物が欠かせませんが、こういう人の割合は実はたった10%だそうです。
大多数の80%の人は、正常性バイアスを起こして普通に振る舞ってしまい、その結果被災するケースが多いようです。つまり怪物が現れても、そのまま逃げも隠れもせず、悲鳴も上げず、怪物に造作なくやられてしまうというわけで、このまま映画にしたっておもしろくも何ともありません。
さらに、これに似た「多数派同調バイアス」というものがあります。これは読んで字の通り、まわりを見て他の人と同じ事をしておこうとする傾向のことで、他の国民に比べて日本人には顕著です。昔ビートたけしのギャグ「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ってのが大流行しましたが、まさにこれが日本人の体質を象徴する好例です。
防災システム研究所「防災・危機管理心理学」では、この二つを「非常呪縛」という言葉でまとめています。他の国の人はいざしらず、日本人の危機管理を考える際は、この二つをまとめてセットにしてしまうのは非常に有効で面白い考え方だと思います。
先ほど正常性バイアス率は80%という研究結果をあげましたが、日本人の非常呪縛率はもっと高いでしょう(残念ながらデータを見つけられませんでしたが)。
つまり、正常性バイアスは起こすが多数派同調バイアスは起こしにくい個人判断力の発達した国民に比べると、合わせ技の非常呪縛を起こしやすい日本人は、災害時、事故時に不利なわけです。
と、ここまでは単なる理論の話なんですが、実際に一万人近い各国からのお客様をながめていますと、やっぱり日本人にはそういう傾向があるなと実感しています。あくまでも個人的な印象ですが、日本人の非常呪縛率は9割以上じゃないだろうかと感じてます。つまり「ヤバイッ!」っていう状況になったときに、自分で判断して一人でサッとアクションに移れる人は、日本人の場合はわずか数%じゃないかな、と思うわけです。
■ 弱点其の参は、克服できるか? ■
できます。これも其の壱と同じく、訓練です。
考えてみてください。アウトドアガイド、警察官、消防士、あるいは軍や自衛隊の隊員だって、新人の頃は8割が正常性バイアスを起こすタイプだったはずです。
でも実際の消火活動の場で正常性バイアスを起こして立ち尽くす消防士が8割もいますか? いません。
最前線で1割がパニック、8割が正常性バイアスを起こすような部隊は、一瞬で全滅すること間違いなしです。
やっぱり訓練なんです。さきほど「其の壱は克服できるか?」のところで、頭を対処モードに切り替えるのが大切と書きましたけど、別の言い方をすれば、ようするに正常性バイアスを起こさないようにするために、日々の訓練が有効だってことなんです。極端な言い方をすれば、技術を身につけるのは副次的な目的です。
■ 今回のまとめ ■
- 危機管理は、三つのステージでできています。
- ガイドが主に担当するのは、最初の二つのステージ「予防」と「対処」です。
- 日本人は、「消極的な予防」が得意です。
- 日本人は、「予防」から「対処」への切り替えが苦手です。
- 日本人は、事故や失敗を隠そうとしがちです。
- 訓練の主眼は、非常呪縛を起こさないための脳トレです。
- 僕も、自分のアウトドアインシデントレポートBBSの失敗を隠しておきたいです......(泣)
■ 次回予告&宿題 ■
さて、次回はどうしましょうかねぇ。まだ時差ボケで頭がハッキリしてません。ゴメンナサイ、今回は次号予告なし、次回フタを開けてのお楽しみ、ってことにさせてください。
したがいまして、宿題もなしです。
もちろん編集部まで自主的に研究レポートをお寄せいただくのは、いつでも大歓迎です。研究にご協力を!
ではまた!
■ オマケ ■
【ガイド小噺こぼればなし 其の五】
アタシの縄張りエイベルタズマン国立公園にゃ、年に何度かシャチが回遊してくるんですよ。えぇ、シャチです。すごいでしょ? アタシも何度か遭遇しましたよ。一度なんて立派なオスがアタシのカヤックの真下をくぐりましてね、背びれのてっぺんがカヤックの底をこするかってくらいで、あのときはスレッカラシのアウトドアガイドでも、さすがに感激のふるえがしばらく止まりませんでした。機転を利かせてひっくり返ってりゃ、背びれにさわれたんですがねぇ、惜しいことをしやした。
エイベルタズマン国立公園は、オットセイのコロニーでもあります。
とくれば、皆さんの頭にゃ自然ドキュメンタリー番組でみた、シャチがアザラシやアシカなんかを襲う豪快な映像が浮かぶわけですね。
でも違うんですよ。エイベルタズマン国立公園に来るシャチは、オットセイには見向きもせず、ひたすらエイを追いかけるんです。
聞くところによりますとですね、シャチは地域によって固有の食文化を発達させてるんだそうです。平たくいいますと、国によって食い物が違うんだとか。人間の話じゃないですよ、シャチです、シャチ。
ちゃんと確認しないままに聞きかじりの話を書いてるんで、ウソだったらご勘弁願いたいんですが、おなじみのアザラシを襲うのは北欧シャチだそうです。これが北米に行くとシャケが好物なんだとか。
おもしろいもんですねぇ。
っつーことは、こういう別文化のシャチ同士って、やっぱり言葉が違って話が通じなかったりするんですかね?
「げっ! カーチャン、あいつらオットセイ食ってるよ! きっしょーっ!」
「こら、指さすんじゃありません。あのシャチたちは野蛮なんだから、襲われるわよ。それよりほら、エイヒレを残すんじゃありません。日本人に持って行かれちゃうわよ」
ってか?
■ 参考文献 ■
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