コラム [Viva New Zealand]
Viva Japan
文:リュウ・タカハシ
2009年10月22日
9月19日(土)から10月9日(金)までの三週間、日本に滞在しました。今回は、今までとはちょっと違った非常に面白い体験をいくつかすることができました。
たとえば今までは、プロガイド・ワークショップとかツアーリーダー・セミナーなどのシーカヤック研修プログラムを開催して、レスキュー訓練などに明け暮れるのが常でした。今回もカヤックの仕事は入っていましたが、訓練や研修は皆無で、遊びのガイドツアーばかりでした。
その代わりに、いささか勝手の違う講演、講習を三つやらせていただきました。一つ目は徳島商工会議所青年部のお招きで危機管理講座、二つめは来年の瀬戸内国際芸術祭2010のガイド志望者を主な対象とするガイディング入門講座、そして帰国直前に東京国際大学商学部の「商学特論(M)レクリエーションを考える」という講義におじゃましてNZのアウトドアとツーリズムに関する特別講義をば。
内容そのものはどれも僕の専門分野なんですが、対象(受講者)が今までとぜんぜん違うので、どういう切り口でアプローチしようかと何ヶ月も頭をひねりました。
おかげさまでどの講演もいちおうの成功をおさめ、素敵なご縁にもたくさん恵まれました。
そうした新しい出会いの中で、ちょっと面白いことに気づきました。
11年前に初めてNZに上陸したときに感動したのが、キウィ(NZ人)のお国自慢ぶりでした。どこに行っても「オラが田舎が世界一」と自慢する人ばかりなんです。郵便局もガソリンスタンドもないような人口数十人の村でさえ、「いいとこだろ? 世界一だ!」とローカルは胸を張るわけです。日本の地方都市や田舎でよく聞く「ここはなんにもないから......」というような自嘲は聞いたことがありません。
もちろん彼らは愛国者で、「NZ is No.1!」なわけですが、その根っこは今暮らしている場所への愛じゃないかなと思うんです。つまり最初に「My town is No.1!」ありきで、その流れで「South (またはNorth) Island is No.1!」となり、「NZ is No.1!」という論法になるような気がします。
確かにすんでいる場所に愛着や愛情がなければ、国全体にも頓着しなくなるだろうなと思います。
彼らの郷土愛がとてもうらやましかったので、僕ら夫婦も彼らに負けじと本当に愛せる土地を探し、おかげさまで今は「Motueka, the best town in the whole world」に暮らしています。
それに比べると、日本はどうも愛郷心が薄いような気がして、なんだかもったいなぁと常々感じてたわけです。今回の滞在で最初に訪れた香川県三豊市仁尾町(仁尾フェスティバル2009開催地)だって、僕の目から見ると仰天モノの宝の山だったのですが、当のローカルの口からはやっぱり「こんな何にもない田舎......」というお決まりの台詞がささやかれていたようです。
ところが講演、講義で訪れた徳島市、高松市、川越市では、どうも以前よりも「オラが田舎自慢」がぐっと増えたような気がして「おやっ!?」と思いました。
ひょっとして僕自身が変化して今まで見落としていたものが見えてきただけなのか、それとも日本でも郷土愛が強くなってきているのか、その辺はよく分かりませんが、どちらにしても、郷土愛が強くなるのはとっても良いことです。
特に面白いと思ったのは、学生の「地元志向」が強くなっているという話。僕らが学生の頃なんて、田舎から東京の大学に出てきたヤツはたいがい東京で就職するもんでしたが、どうやら最近はそうでもなくなっているようで、卒業したら田舎で就職を希望する学生が多いのだとか。
自立心や冒険心の欠如というネガティブな解釈もできるのかもしれませんが、二十歳前後の多感な時期を他の地方ですごした若者が、「ちょっとだけ余所者」の視点を持って田舎に帰るのは、悪いことじゃないような気がします。こういう人たちの「ちょっとだけ余所者」の感性が、そのうち郷土愛、町おこし、村おこしの起爆剤になると良いなぁ、と感じました。
余談ですが、その他にも今時の学生気質というものをいろいろとうかがったり、実際にちょっとだけ観察させてもらったりしたのは、なかなか興味深い体験でした。
NZにもワーキングホリデーや留学などでその年代の子はけっこう来ていて、彼らと話したり仲良くなったりする機会もあるのですが、やっぱりNZまで来てる子たちと日本の大学に通っている子たちとでは、相当に傾向の違いがあるもんだなと実感することができました。ま、この辺の話は別の機会に譲りましょう。
ともかく、これでまた次に日本に行くのが楽しみになってきました。
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