コラム [Viva New Zealand]
ワカアマ・レース - Hoe Wero
文&写真:リュウ・タカハシ
2011年10月31日
2ヶ月ほど前のある日、同僚のシンディが
「リュウ、10月の終わりの土曜日、空いてる?」
と声をかけてきました。
「今んとこ大丈夫」
「リュウはワカも漕げるよね?」
「うん、エイベル・タズマン・ワカツアーズって会社からヘッドハントされたくらいだもん」
「じゃ、レースのメンツに入れとく」
「へ......???」
よりによってこの僕が、スポーツ競技参戦!?
小学校6年の時、剣道の地区予選で勝って全国大会に行くことになりました。元々スパルタ主義だった師範たちの喜び方は尋常ではなく、今なら児童虐待で新聞一面間違いなしのシゴキの日々。チビで虚弱だった僕は試合直後に倒れました。このとき発症した大腸カタルにはその後二十年苦しめられ、いまだに試合会場の雰囲気が苦手なのでスポーツを生で観戦するのも得意じゃありません。面倒なので「怠け者のレース嫌い」といってますが、実はトラウマ抱えてんです。僕ってば可哀想。
でもマオリのシンディは、いつも美味しい海産物を分けてくれる貴重な友人です。断れません。
それにきっと和気藹々の草レースのはず。トラウマを後生大事に抱えてることもないし、分かりました、出ます。
ってなわけで、地元マラエ(マオリコミュニティ)主催のワカアマ(アウトリガーカヌー)レースに、ネルソン市役所チームの一員として出場する羽目になりました。市役所は2チームエントリーしましたが、ほとんどが未経験者。お気楽です。レースアレルギー患者にとっては何より。
さて2011年10月29日(土)、ネルソンのタフナヌイビーチに10艇ほどのOC6(6人乗りオープンカヌーという意味)が並びました。
こりゃ壮観。
雰囲気がゆるいせいか、はたまた僕の神経がだいぶキウィ仕様になってきているのか、大腸カタル再発の気配なし。良かった。
本部席テントの優勝トロフィー、キレイでしょ? 先日20年ぶりにNZに戻ってきた悲願のラグビーワールドカップも素敵でしたが、個人的にはこっちが欲しいです。
そのとなりの予選表。どうやら全部で16チームエントリーしてるようです。各チーム4回ずつ予選を戦い、上位4位が決勝進出というシステム。
4回の合計タイムで競うのかと思ったら、いやベストタイムで比べるとの回答。
漕ぐたびに疲れてタイム落ちるに決まってるから、それなら予選は1回で良いんでねぇの?と思った怠け者の僕ですが、これがきっとマオリ文化なのだと、文句を言わずに漕ぐことにしました。
ウチは13人エントリーしてるので、4回漕がなきゃいけないのは一人だけで、残り12人は交代で3回ずつで良い計算。250mを3回なら、まぁなんとかなるでしょ。
さて、いよいよネルソン市役所チーム「Aihe」出撃。がんばれぇ!
市役所のロゴ入りユニフォームが、なかなか決まってますな。素人チームでも格好だけは気にするのがキウィ流(笑)
最後尾は主催者派遣の舵取り。腰が入ってフォーム決まってます。
残り5人がド素人の役人軍団。腰が砕けてフォームが崩れまくってます。
ま、いいや、がんばれぇ。
結果は、他の3艇がド迫力でバチバチ競り合うところから奥ゆかしく一歩(ホントは5艇身)引いて、Aiheは静々とゴールイン。予想通りの和気藹々とした展開です(笑)
そんな感じで我が市役所2チームはノンビリとレースをこなしていったんですが、悪い予感ってのは当たるもんですね、案の定僕は4レースフル出場させられてしまいました。息を止めて短距離フルスパートを4回やったら、さすがに全身の古傷が大復活(二日たった今でも右手首は盛大に腫れてます)。
さらに悪いこと(?)は重なるもんでして、惨敗のつもりで参戦してるのに、何の間違いか我がKekenoチームは1回目のタイムがえらく良くて、どうやら決勝に残ってしまいそうな気配......。
でももう1mたりとも漕げないから決勝進出だけは勘弁してくださいと、こっそりタンガロア(マオリの海の神様)にお祈りした甲斐あって、最終的には5位になって惜しくも予選敗退。あぁ、助かった、ありがとございます、タンガロア様。
でもやっぱちょっと悔しかったっす。こんなに漕げるんなら、来年はちゃんと短距離スパート向けに身体鍛えてきて、決勝でも漕げるようにしておきますよ。
あらら? レースアレルギー、治ったのかも(笑)
子供たちのために、自前のカヤックも持って行きました。昔、僕が長女のために作ってやったパドルを手に出撃する姉妹。
リュウはプロだから、娘たちにもしっかり厳しくパドリングの手ほどきしてるんだろって思うでしょ? ブッブーッ、大間違い。
学校の授業やクラブ活動のシゴキで運動嫌いになっちゃった日本人って、僕以外にもたくさんいるみたいですね。スポーツに限らず、ダンスや音楽や嫌いになるのもたいていは大人の責任だし、それってホントもったいない話。
ですから子育てで気をつけてることの一つが、僕の二の轍を踏ませないこと。スポーツは楽しいぞ、負けたって良いから楽しんだもん勝ちだぞって教えてやりたいんです。
今のところ娘たちはスポーツ好きに育ってくれてて、その点では順調な我が家です。
ですからこの日も特に何も教えず、ひたすら「上手い上手い!」と褒めちぎって遊ばせておきました。二人ともニコニコです。
そう、それでいいのだ。
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地域の行事に呼ばれるって、仲間に迎えられたようで嬉しいですね。僕も今の土地にきて、初めてこの夏地元の祭りに参加して仲の良い友達ができたり少しは土着してきたのかなと感じてます。
うちの息子は今のところ、ゲームが一番のようです。
僕が筋肉馬鹿で生きてきたせいか、大丈夫なのかと思うことしきりです。が、親戚に筑波の大学院を卒業する若者がいますが、彼も子供のころはゲーマーだったようなのでゲームにもいいところがあるのか?どうなのか。
ま、でも親しだいなんですよね、たぶん。
地元行事への参加は、ホント楽しいっすね、同感同感。
我が家はゲームもPCも禁止してるので、うちの子たちはTVを観るくらいですけど、まぁ子供がゲームにはまるのも無理ないんでしょうね。
ゲームに良いところがあるというより、ゲーム以外の世界を知っているかどうかが大事なのかもしれません。
あと、僕は子供にとっては、「親次第」よりももっと大事なのが「友達次第」だと思ってるんです。
良い友達がいれば、きっと大丈夫ですよ。
社会性は友達同士で学ぶもので、親が教えてやるわけにいきませんからねぇ。
子供の頃友達がいなかった僕が、こんなに社会性欠如した大人になってるのが何よりの証拠(泣)