コラム [Viva New Zealand]
サマータイム(Daylight Saving)
文&写真:リュウ・タカハシ
2009年11月26日
ニュージーランド(NZ)と日本の時差は3時間といわれています。
回りくどい言い方をしたのはNZがサマータイムを採用しているから。ちなみにこっちではSummer TimeじゃなくてDaylight Savingと呼ぶんですが、ともかく夏に向かっている今は、NZが4時間先行しています。
僕にとってはこれが12回目のサマータイムなんですけどね、どうもいまだに違和感がぬぐえないんですよ。
特に小さな子供を持つ親にとっては、なかなか厄介なシステムだなぁというのが正直な感想です。
我が家では、子供は全員8時にはベッドに放り込んでしまうことにしているんですが、ただでさえ高緯度で夏の日没はかなり遅いのに、さらに1時間日暮れをのばすわけですから、8時なんて昼下がりみたいなもんです。子供部屋には高価な遮光カーテンをつけたなんて話もチラホラ。
あとですねぇ、大人にとってもサマータイムと普通時間の変わり目が、ものすごく不自然なんです。
たとえば冬の間は日の出前に起きてヘッドライトをつけて出勤していたのが、晩冬ごろからだんだん夜明けが早くなってくるわけです。嬉しいんですよね。
ところがサマータイム導入されたとたんに一気にふり出しに戻って、また夜明け前起床、暗い中自動車に乗り込む、ってなことになります。
サマータイムの終わりも同じ。だんだん日が短くなってきて、ときどき車をとめて秋の夕焼け空の写真を撮りながら帰宅できる頃は、僕の大好きな季節です。ところがある日を境に、いきなり真っ暗闇をライトで切り裂きながら家路につく羽目になるわけです。あれは何度経験しても「晴天の霹靂」ならぬ「闇夜の霹靂」です。
ホント、季節感もへったくれもあったもんじゃないです。特に春と秋って、日本人にとっては「季節感」を強く感じる大切な季節でしょ? しかもNZって、日本ほど四季の移り変わりが劇的じゃありません。特に僕の住んでるネルソン地方は、極端な言い方をすれば「常春」と「常秋」の二つの季節で一年ができてるようなとこなんです。ですからよけいに春や秋の微妙な深まりってのは、大切に味わいたいんですよ。サマータイムってのは、それを見事にぶちこわしてくれますね。
まぁそれでもキウィ(NZ人)は、世界でも飛び抜けてアウトドア・スポーツが好きな国民ですから、確かにサマータイムを有意義に活用しまくってる人も少なくないです。なんせ残業だってほとんどしない国民性ですからね、5時に仕事が終わってから暗くなる9時半頃まで、たっぷりアウトドアで汗をかいたりガーデニングしたりっていう人は、少なくありません。
ちなみにこういうことができるのは、真夏の気候が爽やかで屋外で過ごすのが快適だってのも見逃せない大きなポイントです。
さてさて、最近また導入案が蒸し返されているらしい日本はどうでしょう?
僕なりにちょっとシミュレーションしてみたんですが、どうもNZ以上にメリットがなさそうな気がして仕方がないんです。
まず小さな子供がいる親にとって遅い日没が迷惑千万なのは、万国共通いわずもがな。
日本の夏のキング・オブ・風物詩といえばなんといっても花火ですけど、下手にサマータイムなんかやっちゃったら、いつまでたっても花火なんかはじめられやしませんよ。
あと日本は残業が多いでしょ。日没が遅くなったって、その時間ずっと残業してるんじゃ、やっぱり意味ないです。
さらに忘れちゃいけないのが、気候。NZと違って、日本の夏は殺人的に暑くて不快。あのギンギンギラギラ焼けつく西日の中、アフターファイブに元気に外で遊べという方が無理じゃないですか? 僕はプロのアウトドアズマンですけど、真夏の日本で外遊びするのは正直あまり気が進みません。サマータイムが導入された日本の夏で野遊びだなんて、考えただけで熱中症になりそうです。
となると、結局カラオケか居酒屋にしけこむことになりますよね。別にサマータイム導入したってしなくたって、いっしょじゃないっすか??? それとも逆に夜明けを早く、日暮れを1時間早める逆サマータイムにします? それもなんだかねぇ。
ってなわけで、不自然なことしないで一年中同じ時計ですごした方が良いと思いますよ、ホント>日本
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