コラム [Viva New Zealand]
ザ・ビッグ・ビーチ・クリーンナップ2011
文&写真:リュウ・タカハシ
2011年11月26日
日本でもビーチコーミング、ビーチクリーンナップが盛んになってきてるようですね。当e4にも、「瀬戸内ゴミゼロプロジェクト」っていう特集ページあります。
あれ、ひょっとしたらe4主宰者の森田編集長が熱心なだけで、世間的にはまだそんなに盛り上がってるワケじゃないのかな? ま、いいや、日本でも人気沸騰中ということにしておきましょう。
もちろん環境先進国のニュージーランド(NZ)は負けてられません。
当コラムViva New Zealandの2009年7月3日の記事「水に流したその先は?」に、ゴミがとても少ないことを書きました。道路、街中、川、海岸、どこを見ても日本人にはちょっと想像がつかないほどゴミの少ない国なのは、ホントなんです。
でも人間の住んでるとこですから、ゼロってわきゃないです。ゴミやタバコをポイ捨てする不逞の輩はいますし、うっかり飛ばされちゃうゴミも後をたちません。
そこでDepartment of Conservation(NZ観光保護局、と訳しておきます)のネルソン・タズマン地方事務所が企画したのが、ザ・ビッグ・ビーチ・クリーンナップ2010。
NZ南島は本州東半分(北半分?)のような形をしてて、おおざっぱに言うと北端の陸奥湾に相当するところがタズマン湾です(偶然にも青森市にあたる部分にネルソン市があります)。
このタズマン湾の293kmの海岸線、50あまりのビーチをボランティア募って一斉清掃しちゃおうってのが、昨年11月20日(土)のザ・ビッグ・ビーチ・クリーンナップでした。上の地図で黄色く線を引いたとこが、対象地域です。スゴイでしょ?
10.4トンのゴミを集める大成功に気をよくしたNZ環境保護局、これは定例行事にしなくてはいかんと、今年も第2回を企画しました。
そのスケールの大きさに感動して昨年は我が家も揃って参加したのですが、もちろん今年も参加してきましたよ。
昨年はネルソン市役所からは2チームがエントリして別のビーチを担当してたので、僕らは家から車で10分ほどのビーチに参加しました。
でも今年は忙しくて1チームしかエントリ出来なかったので、今年はネルソン市まで遠征して市役所オールスターチームに参加することに。
2010って書いてあるのが、昨年僕らが清掃したネルソン市役所カスタマーサービスチームの担当ビーチ。
2011が今年やったビーチですが、実は昨年も市役所本隊はここをやってました。
さてさて2011年11月19日(土)、定時午前10時の5分前に我がチームの本部テントに到着してみると、すでにほとんどの人が集まってました。こっちの人は「キウィ時間」っていって、5分や10分は遅刻するのが当たり前なんですが、どうもネルソン市役所職員には当てはまらないようです。
ちなみにここは、ネルソンの姉妹都市、京都府宮津市(天橋立があるとこです)にゆかりのミヤズ・ガーデンズという日本庭園の前庭です。
担当するビーチが5.15kmと長く参加人数もかなり多いので、名簿で出入りをチェック。本部とビーチの間には時速100kmの高速道路があって、ここを右見て左見てオリャッて走って渡らなきゃいけないので、セイフティブリーフィングも念入りに。全員が蛍光ベストを着てるのもそういう理由です。
紫色が担当ビーチ。ご覧の通り、ネルソン市の市街地のすぐ横を走る高速道路沿いです。これを30家族でやっつけるのは、かなりの運動量になりそう。
いったん始まっちゃったら5kmにわたって散らばり、解散もバラバラになるはずなので、まず最初に記念撮影。
昨年はシトシト降る中の清掃でしたが、今年は快晴。まだ春なんですが、日差しはすでに日本の真夏以上の紫外線なので、しこたま日焼け止めを塗りまくって、いざ出動。
僕らは本部テントから道を渡ったところ、エリアのど真ん中からスタートして西に向かうことにしました。
昨年担当したキナ半島は平らな砂浜だったので楽でしたが、今年は高速道路脇の石積み護岸部分が対象なので、難易度が上です。粉砕骨折からまだ1年たってない僕の膝が、すぐに悲鳴を上げ始めました。
でも5歳の次女は、オジサンたちに混じって果敢に石垣の上でがんばってます。下の砂浜のゴミを探せっつってるのに、ったく。
3歳の長男も、悪い足場に四苦八苦しながら健闘。コレ見るとトーチャンが音を上げるわけにはいきません。腫れ上がりはじめた膝抱えてがんばりました。誰もほめてくれませんでしたけど。
ちなみにビーチといいながら、波打ち際が見えませんね。
実はタズマン湾の干満高低差は、大潮の時にはなんと4.5m! このときは干潮だったので、波打ち際ははるか地平線の彼方でした。満潮時だったらこの石垣の半分くらいまで水没するので、もうちょっと楽だったのになぁ。
などと罰当たりなこといっちゃいけません。干潮のおかげで徹底した掃除が出来たので、海の神様タンガロアに感謝しなくては。
続々と集まるネルソン市役所チームのゴミ。やっぱり目に見えないところにはそれなりにかくれてるんです。
最終的に我がチームは90袋のゴミを集め、全50チームの中で一番多かったそうです。やったぜ。日頃市民の鬱憤のはけ口として叩かれることの多い市役所、こういうところで面目を回復しておかないとね(笑)
とはいえ、5kmのビーチで90袋っぽっちってのは、瀬戸内でビーチクリーンナップしてる森田編集長にとっては、きっと驚愕の少なさだと思いますが。日本だと500mで90袋いっちゃうビーチだって珍しくないですよねぇ(台風の後だと50mで90袋いくかも)。
ちなみに第1回目の昨年は10.4トンのゴミが集まりましたが、今年は530人が7.5トンをやっつけたそうです。昨年はなんせ第1回目だったので、不法投棄の自動車も片付けましたから(これだけでも1トン半くらいはありますからね)、少し多めだったのでしょう。7.5トン分キレイになったビーチで夏、クリスマス、新年、観光客を迎えられるのは、気分が良いものですね。
◎DoC「Tasman Bay beach clean clears 7.5 tonnes of rubbish」
も一つちなみにですね、実は昨年の第1回には、なんと森田編集長も参加してたんですよ!
ほら、画面左端の日本人集団の中に、オレンジ色のレインジャケット着た編集長が! その後で腕組んでるのは、e4の影の参謀K先生です。すごいでしょ、実はe4って海外取材もやってるんですよ。っつーか、クリーンナップと聞けば赤道超えてでも飛んで来ちゃうこの行動力、大したもんです。
ま、昨年は僕も香川でビーチ・クリーンナップに参加しましたけどね。お互いに外国に出張ってまで何やってるのやら(笑)
昨年の第1回の模様は森田編集長がレポートすることになってます。どうやら1年ほど原稿が遅れてるようですが、そのうちアップされると思いますので今しばらくお待ちくださいね(と、やんわりと尻を叩いてみる)。
最初の方に引用したNZ環境保護局のサイトのイベント告知ページに、マオリ語の良い言葉が載ってましたので、最後に引用しておきますね。
Toi tu te marae o Tangaroa
Toi tu te marae o nga Tangata
海の神タンガロアの治める国が健やかなら、
人々も健やかである。
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