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瀬戸内海ゴミゼロプロジェクト 後編

文・写真:森田桂治

漂着物

いつか、瀬戸内海の浜辺にも海面にも、そして海底にもゴミがゼロという状況を目指して進んでいくプロジェクト。現実を知れば知るほどそれは無謀なプロジェクトに思えてくるけど、知れば知るほどほっとけない、僕たちの日常の問題なんだと気付きました。

このプロジェクトでは、ゴールに向けた様々な取り組みをしていきますが、同時にビーチコーミングなど海での遊びの面白さなどもたっぷりお伝えしていきたいと考えています。まずは、僕が漂着物に魅せられて、瀬戸内海のゴミゼロプロジェクトを進めようと思った背景からお話させてください。

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漂着物

イベントとしての海岸清掃はしなくなりましたが、ビーチコーミングの面白さはさらに僕の中で大きくなっていきました。沖縄や北米に出かけては、瀬戸内海では拾えない漂着物に胸を弾ませました。漂着物から想像する外国や南の島にロマンを感じました。ただ、横に転がっているゴミは見てみぬふりで、収集ジャンルの玩具などがあれば拾いますが、あくまでお宝かどうかが判断基準でした。

2006年の春に友人のシーカヤックガイドが海岸清掃、ビーチクリンアップをするから来いというので、久しぶりにゴミ拾いでもするか!と出かけたところにいらっしゃったのが、鹿児島大学の藤枝先生。マニアックなお宝自慢に続いて、学術的なレベルのゴミ調査がはじまりました。数ミリレベルの人工芝、徐放性肥料カプセル、レジンペレットなど、それまでの僕のビーチコーミングでは気付きもしなかったものが、実物を見てから視線を落として気を静めると、不思議なものでいくらでも見つかります。微細なゴミがどこから来たのか考え始めると、今度は大きなゴミがどこから出てきたのかも考えるようになります。

その後の講義では、瀬戸内海が抱えている問題含め、僕たちはどうしていけばいいのか唸ってしまいました。

非日常の浜辺で起きている問題は、日常の僕たちの暮らしの中にある問題だとわかり始めました。というよりも、頭ではわかっていてもリアル感がなかったものが、突きつけられたという感じです。産業の問題、生活習慣の問題。一朝一夕には解決しない問題です。

僕は漂着物学会に入り、書籍を買い求め、諸先輩方にも教えをいただいて、勉強をしました。そして、実践の場として、ビーチコーミング&ビーチクリンアップのワークショップも頻繁に開催しています。参加のきっかけは、お宝探しや学術的な調査への興味など様々ですが、見方を変え、少しの説明を加えるだけで、皆さん、気付きを持って帰られるようになります。

漂着物

さらに勉強を進めてみると瀬戸内海特有のゴミ問題が見えてきました。

日本海や、太平洋は海外からの漂着量が大きく、政治的な力を伴った大きな行動に出ないと解決が難しいのが現状です。もちろん今すぐできることもたくさんありますが、拾っても拾っても流れ着くゴミに参っているのが現状でしょう。これはこれで考えていかねばなりません。一方、瀬戸内海のような閉鎖性海域は、外洋から入ってくるゴミが少ないため、川の上流を含めた沿岸地域の総力をあげれば、解決の方向はあると思います。

瀬戸内海に入るゴミ、外洋に出ていくゴミ、沈むゴミ、漂着するゴミ、回収するゴミの量がだんだん数値として出始めました。すると、一人あたり、どれぐらいゴミを結果的に海に出さないようにして、どれぐらい回収するようにすれば瀬戸内海にあるゴミの総量が減っていくのかもわかり始めました。

出さないようにするほうは、教育、啓蒙、製造業、流通業へのはたらきかけなど、継続して強い運動が必要です。そのためには、浜辺や川で引き続き実態を明らかにする分類調査が欠かせません。

回収するほうも、内陸を含めた住んでいるみんなが、ほんの少しの量を拾えばどんな瀬戸内海が待ってるのか想像ができ始めました。住んでいるみんながいきなり本気は無理だけど、志の高い人が、10人分、100人分拾えば、昔のゴミのない瀬戸内海に戻せると思うのです。美しい瀬戸の浜を復活させたいと考えるのです。

今週末も僕はどこかの浜辺に向かうでしょう。そしてお宝を探しながら、ビーチコーミングは気付きを伴うアクティビティとしてやっぱり面白いなぁと思うわけです。

浜辺  浜辺

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