テーマ [海]
瀬戸内海ゴミゼロプロジェクト 前編
文・写真:森田桂治
いつか、瀬戸内海の浜辺にも海面にも、そして海底にもゴミがゼロという状況を目指して進んでいくプロジェクト。現実を知れば知るほどそれは無謀なプロジェクトに思えてくるけど、知れば知るほどほっとけない、僕たちの日常の問題なんだと気付きました。
このプロジェクトでは、ゴールに向けた様々な取り組みをしていきますが、同時にビーチコーミングなど海での遊びの面白さなどもたっぷりお伝えしていきたいと考えています。まずは、僕が漂着物に魅せられて、瀬戸内海のゴミゼロプロジェクトを進めようと思った背景からお話させてください。
両親も祖父母も釣り好きで、子どもの頃は日曜日ごとに海に出かけていました。釣りのイロハがわかるまでは、浜辺や磯でのお宝探しが僕の楽しみで、無数の貝殻や魚の骨がお菓子の箱に収まって部屋の隅に増えていくのでした。
大学生の頃、アウトドア雑誌で読んだ「ビーチコーミング」という言葉に魅せられ、当時、とにかく人と違うことがやりたかった僕は、覚えたての横文字を、さも自分がかっこいいと勘違いして、「オレ、趣味、ビーチコーミングですから」などと呑み会でほざいておりました。思い出しても赤面ものです。
それでもオフロードバイクで出かけた丹後半島の浜辺で、見たことの無い大きなマメや、ハングル文字の漂着物を拾った時の情景は今でも思い出せます。サークルの女性陣たちからは変わり者と思われていたかもしれませんが、そのうち僕は周囲の目なんか気にせず、ビーチコーミングにのめり込んでいくのでした。
海外に貧乏旅行をした折も、海岸まで出かけて下を向いてうろうろ。モーリシャスやケニアでのインド洋。エジプト、トルコでの地中海。景色に見とれながらも浜辺に四つんばいになって砂をいじってはお宝探しに夢中でした。
東京で就職し、その後名古屋に移り、なかなか海に出かけることも減っていたのですが、1996年に香川に戻ってからしばらくは、仕事もろくにせず、地元の里山や海辺を探索する日々が続きました。それまで日本アルプスや海外の大自然へと向いていた目が、あきらかに変わりました。小自然とでも言うべき身近な自然の面白さ、奥の深さを感じるようになったのです。
同時に、その小自然たちは危うい存在にも見えました。しかし、開発が悪い!などと声を大にする自信もなく、とりあえず、釣り仲間や遊び友達たちと海岸清掃や、山を清掃するエコトレッキングのイベントを年に二回ほど開催していきました。
この「清掃をする」というイベントは啓蒙活動としては一定の役割はあるのですが、どうしてもその場限りの感が強くて、もうひとつ意味が見出せないなと感じていました。「ゴミ拾いましょう。拾いました。お疲れ様でした。また来年!」というイメージなのです。そして、いつの間にか開催しなくなってしまいました。
(つづく)
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