テーマ [森]
吉野川源流の森伐採ツアーレポート(2)
文・写真:NPO法人里山の風景をつくる会
吉野川源流の森の木で家や家具をつくり、木の文化を蘇らせることを目的としている徳島のNPO、「里山の風景をつくる会」。2007年の秋に行われた源流の森伐採ツアーのレポートをご了解を得て転載させていただきます。森と街が川と木で繋がっている。一泊二日の旅に同行した子どもたちはどんな未来を想像しているのかな?
お腹いっぱいになって、一行はようやく、今回の旅のいちばんのイベントである、杉の大木がそびえる山、伐採の現場にたどり着きました。
こちらが、山のことを私たちに教えてくれる森の伝道者、田岡秀昭さんです。
木のこと、伐採のこと、ここだけでなく日本の山の現状と未来について、丁寧な言葉で伝えてくれます。田岡さんは、私たちのNPOの理事も務められています。
いよいよ、この大きな木を切るのです。
樹齢80歳。 山では80年生と呼びます。
今、山を管理している人々の、何代も何代も前のご先祖が、未来のわたしたちのことを思って、植えてくれた木です。
大地を這う根に楔を入れていきます。
ゆっくりと傾き始めた大木は、そのスピードを徐々に増し、枝が空を切る、その音。
聴こえますか?
幹の裂ける音、しなる枝の梢がおこした風の音、大地に倒れた衝撃が地鳴となって、山肌に立つわたしたちの体に響きます。
山間に少しの間こだました音が、過ぎ去った後には大きな大きな静寂が訪れました。
それは、80年という時間の長さを感じるには充分なものでした。
大人も子どもも、皆一様に、ただ、ただ、おごそかな、あたたかいとも、悲しいともいえる不思議な気持ちでこころがいっぱいになりました。
あんなに大きいと思えた木が、ワイヤーで吊るされて空を飛びます。
「あっ、空飛ぶキリンだ」 と、子どもたちが指をさします。
高い山の中で育った木々は、こうやって山を下り、人里に住むわたしたちの元へと運ばれるのです。
倒された木の根っこ。
一年一年の年輪がみえました。80年かけて、山を守る人々が心をこめて育てた証です。
「これを、わずか30年で使い捨てているのが、日本の住宅の現状です。」 と田岡さんは、教えてくれました。
この一輪一輪に、あなたは何を思いますか?
まず、できることから。
わたしたちは、始めなければなりません。
吉野川源流の森伐採ツアーレポート(3)へ>>■源流木's(ゲンリュウキッズ)■
今回のツアーで訪れた高知県嶺北の間伐材で作った、子どもも大人も喜ぶ積み木です。
■源流家具■
今回のツアーで訪れた高知県嶺北の間伐材で作った、家具シリーズです。
NPO法人 里山の風景をつくる会
〒770-8055
徳島市山城町東浜傍示28-53
TEL:088-655-1616
FAX:088-655-1632
http://enjoy-satoyama.jp/
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