コラム [編集長「泡盛談義」シリーズ]

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第2回 どんぐり研究所主任研究員 大石泰輔さん(その3)

大石さん

大石泰輔さん
1954年、香川県生まれ。京都府立大学大学院農学研究科林学専攻修了。
某県庁に勤めながら、自然観察会運動、市民参加の森づくり運動で活躍。最近は自称どんぐり研究所の主任研究員として、「人と森の絆を回復するために 森の気持ちを理解する 誰でも入門できる森林道場」を展開中。顔出しNGのはずだったが、お酒のせいか、早々にOKが出た。

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-- 日本人としては最初の話、森林生態系としては豊か。で、木材供給は外国から安く伐ってくるって言うのはいいんですかね?エゴではないんですか?

大石 単純に木材輸入が問題多いわけでもないんだよ。製紙会社なんかは原料の木材がなくなったら会社が潰れるわけだからけっこう真剣。天然木材資源の収奪では限界が来るので、自然林伐採はやめて、今ではユーカリ林など成長の速い樹をプランテーション的に作っていくのはかなり進んでいる。収奪では未来が無いのは過去の経験でわかってきている。建築材も、ニュージーランドの放牧地を持続可能な森林に戻していこうと、北米からラジアータ松というのを入れて、大規模に植えている例がある。これがニュージーランドの気候にあっていて、すごいスピードで育つんだって。10年~30年(日本の半分の期間)ぐらいで日本に輸出できる材になる。元々丘陵地帯なんで作業の機械化も簡単で安いコストでできるわけ。最近は集成材の技術も進んでるので、少々柔らかい木材でも建築用途に使えちゃうしね。

-- 木材輸入に関しては問題は減ってるってことですか?日本人、あちこちのジャングル伐りまくってるイメージあるんですけど。

大石 熱帯雨林の問題だよね。でも、確実に問題は減っているんちゃう?もちろん違法伐採の問題はあるので、そこはきちんと監視しないといけないけど。偽装もあるしね。あと、北米や北欧から来てるSPF材(スプルース:トウヒ,パイン:松,ファー:モミ・ツガ)とかは天然で針葉樹林帯が成立している地域から生産される木材だけど、森が大規模で多少伐って輸出しても、すぐに新しい樹が天然でも生えてくるので森林資源としては対して問題じゃなかったりね。アメリカはゴア副大統領以降、多少制限してるけど。カナダなんかはもう木材輸出産業が国家産業だから、日本が買ってくれなくなったら、みんな失業して困っちゃうんだよね。木材買ってるの日本と中国ぐらいだし。

-- そうなんですか・・。かなり誤解してました。

大石 国産材消費運動というのは必要なのはわかるけど、スギ、ヒノキが万能でもないので、適材適所のバランス感覚が大事だと思うよ。

-- なるほど。

大石さん

大石 ひとつ現代の問題として考えるなら、山村に人がいなくなって、都市に人口が集中している。このままいけば、日本人が長年培ってきた農山村文化というのが継承されなくなってしまう。これは、日本全体の耐性が弱くなることにつながると思うので、真剣に考えないといけないと思う。

-- 現段階では、木材資源としても燃料資源としても無理やり活用する状況にないわけだけど、長い目で見たときの備えとして里山などでの農山村社会が持っている価値をゼロ化してしまうのはよくないと。

大石 ただ、廃村は今後ものすごく増える運命にある。このあたりの問題は課題整理してまた議論しないといけないね。日本の産業の未来像も僕らが子どもの頃に受けた教育とは変わってきてるし。毎年3万人も自殺者が出る国。東京の電車が毎日飛び込み自殺で止まっている。一方、山村のおばあちゃんは、90歳でも100歳でも元気に生きている。とはいえ、山村にも様々な問題がある。ぜひまた泡盛談義しましょう!

-- ぜひまたお願いします!

ドングリチャン

ドングリ

ドングリランド

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