ライフスタイル [ネイチャーフォトグラファーへの道]
ネイチャーフォトグラファーへの道 四歩目

文&写真:リュウ・タカハシ
2009年7月20日
■ 参歩目までのあらすじ ■
天の啓示を受け、なぜかネイチャーフォトグラファーを目指すことになってしもぉた拙者。とりあえず雑誌の「一週間で風景写真が見違える」という特集を参考に修行を積むことに。第一日目の課題「あなたの写真を分析しなさい」を読み、さっそく昔撮った写真を引っ張り出してみるも、見るも無惨な分析結果に砕け散りがちな拙者であった。
■ 写真趣味復活後の新作だ>拙者の写真 其の四 ■
最後にもう一枚だけ分析。写真趣味再燃後、しかしまだ啓示を受けるには至っていないという、微妙な時期の写真をば。

撮影日:2009年1月2日(金)
場 所:カフランギ国立公園リワカリサージェンス・クリスタルプール
正月二日、真夏の一コマ。
一説によるとニュージーランド(NZ)の紫外線は、日本の7、8倍だそうだ。たとえばNZの真冬の快晴の日に洗濯物を干してると、サングラスが欲しくなる。日本では真夏だってそんな風に感じたことはなかったが。皮膚癌率だってNZは世界トップクラスだ。
そういう国の初夏は、日射しがキツイなんてものではない。空気自体がギラリギラギラと発光しているのではないかと思うほどだ。
そんな頃に撮った一枚。
ここは日向と日陰が複雑に入りまじってて、まともに露出をあわせる自信はなかった。昨年までならあきらめてたとこだが、読書先祖返りで写真雑誌を読むようになってからHDRという技があることを知り、こういう場所こそうってつけだろうと挑戦してみたのがこれ。
HDR:
ハイダイナミックレンジの略。露出オーバー、適正露出、露出アンダーの数枚の写真を、専用のソフトで一枚に合成して、明るいところも暗いところもちゃんと露出のあった写真にしてしまう便利なデジタルマジック。CGのような独特の風合いの写真になる。
ちなみにRAWファイル一枚からHDRを焼くこともできるが、僕の手持ちの機材やソフトでそれをやると、すごくノイズがのって使い物にならない。
- 露出
HDR加工したので、まんべんなく露出はあっている。が、まだソフトが使いこなせていなくて、画質がどうも不自然。 - 天候
青空に白い雲。文句をいったらバチがあたる。 - 光線
直射日光が降りそそいでいるところと、陰になっているところが混在していて、露出あわせが非常に困難。真夏の正午近くなので、太陽の位置が高く、しかもHDRにしたせいもあって、樹の立体感がとぼしい。 - 場所
超がつくほど美しい場所。 - 構図
手前の樹をフレームとして使って、その中にきれいな水をおさめたいという写真。だが水の占める面積が小さく、どうも主役がはっきりしない、本末転倒な構図。
実を言えば、この写真はあとからトリミングして構図を整えるつもりで撮ったので、あえて樹も大きく入れてある。
とはいえ、撮影時にどの辺を切るかってのはキチンと計算してなくて、
「まぁあとでチョン切りゃ、なんとかなるべ」
と甘いことを考えつつシャッターを切ったような気がする......。いや、そうに違いない。
ホントになんとかなるのか、オイ......。
■ ならばチョン切ってみる ■
やっぱり手前の樹が大きく写りすぎてるような気がする。ここまで派手に入れることもないよな。
これぐらいでどうだ!?
う~む、やり過ぎたか? 切りすぎか? もうちょっと残しても良かったのか? どうもその辺のさじ加減がまだよくワカラン。絵心のなさが、もろにばれるな。
あと、HDR特有のノッペリした画質なので、主役のはずの水がぜんぜん目立たない。もっと覆い焼きや焼き込みで、メリハリをつけなきゃいけないんだろうけど、これだけ全体が均質だとどこからどう手をつければいいのやら、拙者ごときの手には負えない感じがして、結局何も出来なかった。
教訓:
あとでトリミングするつもりで少し引いて撮るのは良いが、ちゃんとどこをどう切ってどういう構図の写真に仕上げるか考えて撮っておかないと、話にならん。
ついでに、例によって白黒加工もしてみたら、ますます主役の水がかすんでしまった......。白黒化するつもりなら、最初からそのつもりで主役(この場合は、泉の水)の質感がしっかりわかるように撮っておかないとイカンのだな。これもメモメモ。
というか、ちょっとハイキーにしすぎたな。もう少し暗くした方がよかった。なんでこんな風にコントラスト調整したんだろう??? きっと酔ってたんだな。これじゃ赤外線写真だよ(笑)
■ ならば別のチョン切り方 ■
よし、ならば空をカットして、手前の樹をもう少し入れてみよう。
ちょいとマシか。日の丸写真という噂もあるが。
手前の樹は、もう少し暗く焼いた方がいいかも。
これくらい泉が大きくなると、光が反射して白飛びしてるところも気になってくるな。HDRも万能ではないな。
というか、やっぱりCG画像っぽくって、どうも泉が主役という感じがしない。イカンなぁ。
なんかこう、目が吸い寄せられるようなインパクト、なんとかならんか......。
■ インパクト、インパクト...... ■
インパクト、インパクト......。
いや、だから......。
■ HDR加工前の元画像は ■
なんだか締まりのない写真をあれこれいじってアホやってるうちに、HDR加工前の元画像はどうなんだと気になりはじめた。
合成前の適正露出写真。これに同じ構図の「露出オーバー白飛び写真」と「露出アンダー真っ暗写真」を合成したのが最初の写真だ。もちろん三脚を使って、三枚をたて続けに撮る。
この写真、手前の木は黒つぶれ、雲は白飛びしてる。こうなるのが分かってたので、HDRにしようと思ったんだけど、あらためてよくこの写真を見てみると、美しい泉にバッチリ露出があってるから、これが主役だとよく分かる。
う~ん、そうか......。露出が難しいからHDR、と短絡的に考えちゃいかんのだな。一筋縄ではいかぬな。
■ 元画像もチョン切ってみる ■
せっかくだから、これも切ってみよう。
三枚目の写真(ニンジン男合成前)のと同じような構図に切ってみた。あ、三枚目に比べて、シャープネスをちょいとかけ過ぎた。ま、いいや。
色はHDR版の方が鮮やかだけど、やっぱりこっちの方がメリハリがあって、水もキレイな気がする。なるほどなぁ。
ただ、やっぱり黒つぶれと白飛びが極端だよな。このさじ加減が難しい。
結局のところ、写真雑誌爆読の成果は、あんまり出てなかったということか......。
■ いろいろやってみた結果 ■
HDRとか白黒とかコラージュとか元画像とかいろいろやってみ結果、結局のところ「もう少し待って、太陽が少し雲に隠れた高曇りの瞬間を狙って撮影」ってのが正解だったようだ。そうすりゃHDR加工しなくたって、もうちょっといい露出で撮れただろう。
っつーか、樹が生い茂ってるとこの写真って、基本的にはピーカンは避けなきゃいかんよなぁ。
って、教科書通りの面白くも何ともない結論じゃん......。ま、いいのである。教科書で読んだだけと、我が身で痛感したのとでは大違いじゃ。
■ くっそぉ、撮るぞぉ ■
わずか四枚ぽっきり分析しただけで、じゅうぶんに落ちこませていただいた。花やキノコの接写とか、森の写真とか、そういうのもまな板に載せて、自分を褒め殺してあげようかと思っていたんだが、これ以上やるとプチ鬱になってしまいそうなので、これくらいで勘弁してつかわす。
こんなときは空を見上げろと坂本九(以下同文)。
うっしゃぁ、空見たら、やる気出たぁ! 目も痛くなったぁ(紫外線強すぎ)。
よろしい、じゃぁちゃんとしたのを撮ってきてやろーじゃないの。撮って撮ってとりまくって、修行してやろーじゃないの。かかってきなさい!
というわけで、次号はいよいよアンセル・アダムスと一騎打ちか!?
乞うご期待。見たい子は、お母さんにお金もらってきて飴買うんだよぉ。
■ 参考文献 ■
- 『Practical Photography』 September 2007, PP.74-79
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