ライフスタイル [ネイチャーフォトグラファーへの道]

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ネイチャーフォトグラファーへの道 壱歩目

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文&写真:リュウ・タカハシ
2009年6月8日


■ 序章 ■

 2009年の夏のある日、啓示を受けた。

 「何時、もとい、汝の次なるステップは、ネイチャーフォトグラファーなり。立て、行け、闘うのだ、リュウ!」

 ......? 天は拙者に、第二のイワゴウになれと......!? な、何でまたそんな唐突に......?

 が、細かいことにこだわらんのがポリシーだ。よろしい、不足はない。というか、こっちが不足だらけだが、ま、いいや。
 ともかく、啓示には逆らっちゃいけない。桂治だったらいいけど。

 ところで夏は7、8月なんて国もあるそうだが、それはマチガイである。
 正しい夏は1、2月。サンタはサーフボードで水平線を切り裂いてあらわれ、元旦は海水浴&BBQが正統派である。だから2009年の夏はとっくに終わっているのである。あるといったら、あるのである。
 年末年始はコタツにミカンに屠蘇に雑煮? そんな邪道は、ちっともうらやましくなんかないぞ。悔しくなんかないぞ。平気だぞ。ホントだぞ。泣くぞ。

 あ? 脱線してる? 閑話休題。
 シーカヤックガイドを辞めて転職したのが約一年前。そのとたん読書傾向がなぜか高校時代に逆戻り。二十年以上ごぶさただった科学雑誌とか写真雑誌ばかりむさぼり読んでいる自分を発見して、ちょっと驚いた。

 そう、「拙者」がまだ紅顔の美少年な「オレ」だった頃、一瞬だけ写真にはまったことがあるのだ。オレが町を歩くと、「きゃー、素敵ぃ!」とギャル(死語)の黄色い歓声がそこら中であがったものだが、「チビで短足じゃぁ~ん」とつけくわえてたオマエら、あの頃受けた心の傷は、拙者今でもまだ癒えておらぬのじゃ、そこになおれぃ、叩っ斬ってくれるッ!

 ん? また脱線してる?
 だったくせにだったせいか、オレはシャイっつーか女性恐怖症気味で、父親のOLYMPUS OM-10をこっそり持ち出してみても、黄色い声じゃなくて鳥ばかりにレンズを向けてた。地元紙にツルの写真がのって喜んだこともあったのぉ、そういえば。
 ネイチャーフォトグラファーへの道の第一歩は、どうも情けない理由で踏み出していたようだ。あの頃「ねぇ彼女ぉ、ちょっと写真いい?」なんてできてたら、今頃はきっと...(ブツブツ)...(しばし白昼夢の世界に)...。

 いかん、また激しく脱線してる。
 ところが写真は高校生には高価な趣味。いつも空のカメラで「素振り」たぁ、つくづく情けない第一歩だ。

 大学時代、何を思ったかオヤジが発売直後のCanon EOS初期型をポンと買ってくれた。
 ところがどっこい、オレは単車乗りでバンド野郎、すなわち万年金欠。もしフィルムが買えても、現像にだせない始末で、いきなりお宝持ち腐れ。
 しかも「オートフォーカスって、モーターうるせぇしピント遅ぇし、使えねぇ」とナマこきまくり。無礼者。
 うっかり壊したレンズを修理する金がなくて、あえなくお蔵入り。どこにいったんだろう?

 その後、二十代はカメラにさわらなかった。

 1998年春、せっかく世界一美しい国に引っ越すんだからと、デジカメ初購入。型遅れ特売品だったエプソンの81万画素モデル(今風にいえば0.81メガピクセル)は、30年前の写真のような色あせ具合、日向は白飛び、日陰は黒つぶれというアバンギャルドな画質。今見るとオモチャ以下だが、フィルム不要(安い!)、PCですぐ見られる(セッカチにぴったり!)、自分でレタッチ可能(ゴマカシがきく!)ってのは、じゅうぶんに衝撃的だった。

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 エプソン撮影例。
 「世界一美しい散歩道」の異名を持つ超有名トレッキングコース、ミルフォードトラックの最高地点にて。
 めったに行けない場所で、しかもめったにない好天。いかにも無念な画質。
 ただしデジカメを持っているというだけで人だかりがする時代で、けっこう自慢だったりした。

 しかし移民はビンボーヒマナシ。カメラはチャチ、メモリーは極小、電池をやたら食う。写真趣味再燃せず。

 やたら撮るようになるのは、ご多分にもれず赤ん坊誕生がきっかけだが、拙者の場合は、それに先んじて細々と売文をはじめていた。ウェブならチャチなカメラでもなんとかゴマカシが効かないでもないが、たまに新聞や雑誌から写真つき原稿の依頼が入ると、胃から酸っぱいものがこみ上げるのが常。だから子供が産まれる前から、ましなカメラが欲しいと常々思っていた。

 2005年の一時帰国の際、Canon EOS Kiss Digital Nを家内の誕生日にプレゼントした(実はそれ以前にも一台別のカメラを買ったが、これもハズレだったので詳細は割愛)。
 ところが彼女がちっとも使わない。いきなり死蔵。007とEOSは二度死ぬ!? いや実は彼女は、母親にプレゼントされたEOS Kiss銀塩版も持ってたのに、これも使ってなかった。EOSは三度死ぬ!
 こりゃイカン、007もEOSも二回も死にゃじゅうぶんだろ、拙者が使って進ぜよう! ってなわけで、副業の商売道具用にかっぱらった。

 おかげでストレスは減った。少しでもましな写真を原稿に添えたいので、たまぁにネット上で写真撮影解説に目を通すようにもなった。なんて仕事熱心なんだ。
 でも写真趣味は、なぜか再燃しなかった。ガイド生活で疲れ切ってて、趣味持つヒマがあったら、昼寝をしたかったからと推察される。

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 Canon EOS Kiss Digital N撮影例。
 あったりまえだが、エプソンと比べると画質は月とスッポンポンの拙者くらいに違う。
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 しかし、下手くそである。もちろん写真が(スッポンポンの拙者は下手くそではないぞよ)。
 手前のジャマな草、背景の枯れ葉、構図は典型的な「日の丸写真」。イカン。
 おまけに光のあたってるところは白飛び、影は黒つぶれで、エプソンとどこが違うんだ......。またもや宝の持ち腐れ。
 以前撮った写真を全部捨てて切腹してしまいたくなった拙者である......。

 そして問題の2009年。ボロボロになってた身体も転職数ヶ月でようやく復調してきたころ、理由不明の読書先祖返りで写真関係を爆読するようになり、「へぇ!」「えぇっ!?」「おぉっ!!」ってやってるうちに、ついに着火、再燃、そしてなぜか啓示!



■ さて、修行だ ■

 経緯はそんな感じだが、まぁそんなことはどうでもいい。ここまでたっぷり読まされたのに「どうでもいい」といわれてご立腹の読者もいらっしゃるかとは思うが、まぁ細かいことはお気になさるな。なんせ拙者、未来のイワゴウII世なのである。

 問題は、拙者がカメラエンスーだとか、写真オタクだとか、撮影マニアだとか、そういう人種ではないということ。つまり、道具も技術も知識も、ほとんどない。ピカピカの白紙ではないが、ちょっと埃がつもって汚れた白紙くらい。といいたいがための、ここまでの前振りだ。長い? あいすまぬ。

 さて、修行せねば。
 とはいえ、プロに弟子入りして道具担ぎやるような歳ではない。乳飲み子いれて三人も子供かかえておるのじゃ。

 どうするか。

 フッフッフッ。問題ないのだ。独習だったら、ちょっと年季が入っているのである。ギターも独習だった。ガイド時代は先輩がたくさんいたが、手取り足取り習ったんじゃなくて横目で盗んだわけだから、半分以上は独習のようなもんだ。両方とも良い線までいった。
 要するに、キチンと先生につき、チャンと授業(レッスン)に出席するという当たり前のことができない困ったヤツなのだが、そんなことはこの際関係ないので、深く突っこんではならぬ。
 ともかくどう修行するかというと、巧い人のワザをとことんコピーするだけの話だ。一に真似ッ子、二に真似ッ子、三四も真似ッ子、五も真似ッ子。イワゴウになる前に、まずは真似ッ子メグちゃんだ。これに勝る練習方法はない。

 写真なら、音楽やガイドよりもお手本探しが楽だ。雑誌、本、ウェブ、ポスター、チラシ、絵葉書、カレンダー、部屋の中ザッと見回しただけでも、プロが撮った写真が無数に目につく。
 図書館には、すごい数の写真集や撮影ノウハウ本、写真雑誌が「オラを借りてけろ」とひしめきあってる。
 こういうのを真似すればいいのである。練習方法クリア。



■ さて、道具だ ■

 よし、次は道具だ。今の機材ではあまりにも心もとない。

 景気づけに、カメラを新調しよう。
 第二のイワゴウを目指すならOLYMPUSか? フォーサーズ規格はレンズが小さくて軽いんだっけ?
 それともISO1600でもノイズがでないと評判のNikonか?

 しかしもうCanonにすっかり慣れてしまったから、三代目(家内のもあわせると四代目)もやっぱりEOSで筋を通すべきであろう。

5D-Mk2.jpg よし、どうせならドーンとEOS 5D MkIIと参ろう。HD動画が業務用ビデオカメラ並らしいし。

 さて、いったいいくらするんだ??? カ・カ・ク・ドット・コ・ム、ポチッとな......。

 ......。
 ............。
 ..................。
 こ、こりゃい、い、いかん......。

【修正案】 Canon EOS 5D MkIIは次年度予算案編成時に漸次導入を検討。当面は既存装備Canon EOS Kiss Digital Nを鋭意活用のこと。

 そういやシーカヤックガイド時代は、お客様(アマチュアカヤッカー)の十分の一以下の値段の安物装備で仕事してたんだった。ギターだって、貧乏だったからエフェクターなしアンプ直結で良い音を出すことに熱中してたし。弘法とかいう字の巧い坊さんだって、ペンは適当だったとかそんな話を聞いたことがあるぞ。EOS Kiss Digital Nでじゅうぶんだ、うん。そうだ、そうだ、そうにきまってる。

 が、レンズが......。
 いや、それも手持ちのでいいのだ。最初のエプソンを思い出すんだ>拙者
 うん、じゅーぶんだ、じゅーぶん、じゅーぶんすぎるぞ。

 そもそも、手元にあるものでなんとかするのがアウトドアズマンの極意なり。レンズ買うなんざぁ、10年早いわ、タワケモノッ!

 ......。  なぁ~んだか哀しくなってきちゃったなぁ。こういうときは空を見上げろって、坂本九ちゃんがいってたな。あぁ、いい雲だ。

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 でも今みると、家並みの上の空の白飛びが気になる......。露出オーバー気味かなぁ?

 しかしバンドやってるときって、なんであんなに楽器に金つぎ込めたんだろう? 万年金欠だったはずなのになぁ。あれ全部あわせたら、EOS 5D MkIIなんか軽いじゃん。やっぱ女房子供全部質に入れて......(ブツブツ)......。

■ 最初の教科書 ■

PP2007-09-cover.jpg 道具に文句いいはじめるとキリがないからな、サッサと忘れて話題変えよう。

 教科書だ、そう教科書。そこら中に写真あるっつっても、スーパーマーケットの広告の真似してリンゴの写真撮ったって、イワゴウにゃなれなさそうだ。もっと効率のいい教材はないものかと、図書館で物色。

 あるじゃん。
 英国No.1写真雑誌『Practical Photography』、つい先日なんと創刊50周年を迎えた長寿雑誌なのに、ずいぶんと若々しい誌面だ。非常に分かりやすく、非常に面白く、今まで見た写真雑誌の中で一番好み。エンスー、ベテランにはちょっと物足りないかもしれないが、拙者のように初心者のクセにイワゴウを目指すとか抜かしくさるアホには、これがバッチリだ!
 特にコイツがいいぞ、この2007年9月号。特集は「Special Course! Better Landscapes In Just 7 Days!」、いいでないの、一週間で風景写真が見違えるってか?
 よし、これ借りよっと。

■ っつーわけで ■

ryu.jpg 次号から修行開始だ! 目指せCanon 5D Mark II! じゃなかった、目指せ第二のイワゴウ! いや、第二のシノヤマもいいかも......。

 ん? 第二のコバシ・ケンタ? いや、それだけはご勘弁を。

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