エルゴグリップとは

人間工学に基づき、人間が最も力を抜いた状態の、半ば指が曲がった形状になるように、微妙な曲線と手の動きを研究し設計したグローブです。この立体カーブを作るために、材料の皮革を全く新しいパターンで裁断し縫製しています。
従来のスポーツグローブは、手の指が伸びた状態に合わせて設計されていますが、人間の自然の手の形とは異なるため、はめたままの状態で長時間いると無駄な握力を消耗するほか、ハンドルのグリップやスキーのストックを握ったときに指の内側に無駄な“しわ”や“よれ”が発生し、手とのフィット感を損ねるという問題がありました。
エルゴグリップは、これらの問題の解消と最高のフィット感の確保を目指し、スポーツグローブとして考えられるベストな形状を目的として開発されたスポーツグローブです。
エルゴグリップの特徴
- 無駄な握力を必要としないことから、はめたままの状態でも疲れにくいグローブです。
- 握ったときに指の内側にできる“しわ”や“よれ”をなくし、グリップとの親和性を高めました。
- トッププレーヤーに要求される、手とグリップとの一体感を最大限に引き出します。
- バイクの事故防止などにつながると考えられます。

エルゴグリップ開発秘話
エルゴグリップの発端はベテランの手袋職人Uさんの、中学校で野球をやっている息子さんから「バットとぴったりフィットするような手袋はない?」と要望されたところからスタート。
売りに出せない手袋をばらして縫っての繰り返しをし、試行錯誤しているうちに他の職人の方も加わって半年、ようやく形が出来るまでに到達しました。
試作品を作っては感想を聞いて、それをもとに作り直しての繰り返しをして作成しました。今では有名なトップアスリートも使用しているほど、手に馴染み、長時間使用しても疲れない「エルゴグリップ」が出来ました。
香川県東かがわ市の手袋の歴史
エルゴグリップの生まれた、香川県東かがわ市の手袋づくりは、明治21年(1888)に両児舜礼がメリヤス手袋を製造したことを始まりとしています。その後、棚次辰吉が最初の手袋会社「積善商会」を設立し、本格的に経営が始まりました。
大正3年(1914)に勃発した第1次世界大戦特需で、多くの手袋会社が設立されました。後に太平洋戦争中の戦時体制によって繊維統制が布かれ多くの企業の発展が拒まれたのですが、終戦後の昭和20~30年代の高度経済成長の波に乗り、ついに世界一の産地だったアメリカ合衆国を抜いて当地が世界一の手袋の産地となりました。
現在、東かがわ市は全国の90%を占める手袋製造を主産業としています。
エルゴグリップを開発した松岡手袋(株)は、東かがわ市の伝統的な手袋産業の一翼を担う企業として47年の歴史を有し、手袋の中で最も機能性を要求されるスポーツグローブを主に製造しています。


松岡手袋のモットーは「機能と品質を追求する」であることから「より人の手に近いものを」追求してきました。人間の手の自然な形を得るために100を超える各種パーツのカッティングから、1ミリの誤差も許されない縫製、商品としての完成度を厳しくチェックする品質管理に至るまで、一貫したクラフトマンシップで製品作りに取り組んでいます。
価格の安い海外製品に押されがちな国内グローブ市場ではありますが、松岡手袋は、これまで培った確かな技術と信頼性を武器に、高級志向、本物志向のユーザーに認められる製品をつくりつづけていきます。