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世界で紫外線の強い国は?オーストラリアの紫外線対策を見てみましょう

2018年05月31日

今日は、世界で紫外線の強い国のでの対策についてご紹介します。

まずは、紫外線の強さは、何で決まるのかということから探ってみましょう。

1 紫外線の強さは何によって決まる?

紫外線の強さには、おもに以下の要素が関係しています。

(1)季節

日照時間が長く、太陽の高度が高くなる夏が、冬に比べて強くなります。

(2)時刻

太陽の高度が高いほど強い紫外線が届くため、一日のうちでは正午ごろが一番強くなります。
(3)天候

晴天時の紫外線量を100%とすると、曇りは50~80%、雨は20~30%になります。

(4)標高

標高が高いほど、強い紫外線が届きます。紫外線は、上空から地上に届くまでに空気分子やエーロゾル(大気中の浮遊微粒子)に散乱され、その強度は弱くなります。標高が高いと、紫外線が散乱を受ける大気の量が減り、その分、地上で受ける紫外線は強くなります。

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図1(出典)気象庁 標高と紫外線

(5)オゾン層

オゾンは、地上付近から50km以上の高さにまで広く分布しており、このオゾン層が紫外線をさえぎってくれています。オゾン層の厚さが 1%減ると、地上紫外線強度は約 1.5%増えるといわれています。

2 世界で紫外線が強い地域はどこでしょう

紫外線の強さの要素をふまえて、世界のどの国が紫外線が多いと思いますか?だいたい予想がつきますね。では、世界の紫外線の状況を見てみましょう。

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図2 世界の月平均晴天時UVインデックス(上:2008年7月、下:2008年10月)
(出典)気象庁 オゾン層観測報告2008

図2は、日々の太陽南中時(注1)における晴天時の紫外線量(UVインデックス(注2))を気象庁が月平均にしたものです。

図を見ると、赤道近くの緯度の低い地域は紫外線が強く、緯度の高い地域は紫外線が弱くなっています。また、7月は、紫外線が強い地域が北半球にあり、10月は紫外線が強い地域は南半球に移動しています。これは、ご存知のとおり、夏の時期が、北半球と南半球で入れ替わるためです。また、標高が高い地域も紫外線が強いことが分かります。

(注1)太陽南中時:太陽がちょうど真南にくる時刻
(注2)UVインデックス:紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したもの。WHO(世界保健機関)が開発し、国際的に用いられています。

20180531_03 図3(出典)紫外線環境保健マニュアル2015

では、世界の代表的な都市のUVインデックスを見てみましょう。

表1は、WHOがホームページで紹介している季節および緯度によるUVインデックスの変化です。分かりやすいように、UVインデックスが8~10の「非常に強い」を赤字、11+の「極端に強い」を紫字に色付けました。

日本(観測都市:東京)では、最も値が高い7月が「10」。4~10月(7月を除く)は「8」、または「9」の値になっています。11~1月は「2」で紫外線の程度は「弱い」です。

これに比べて、シンガポール(観測都市:シンガポール)の緯度は、北緯1度。まさに赤道直下の国です。年間を通じて値は10以上。最大値は13を記録しています。脅威的な紫外線の強さですね。同様に、南緯1度のケニア(観測都市:ナイロビ)も年間を通して10以上の値が並んでいます。

一方で、北緯52度のドイツ(観測都市:ベルリン)や北緯49度のフランス(観測都市:パリ)は、最も値が高い月でも「7」、北緯60度のロシア(観測都市:サンクトペテルブルク)は「5」となっています。

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表1(出典)WHO The UV Index Worldwide

3 紫外線対策の先進国、オーストラリアの対策を見てみましょう

表1のオーストラリアのダーウィンは北緯13度、一年を通じてUVインデックスが「非常に強い」8以上、「極端に強い」の11+の月が半年以上あります。

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オーストラリアの紫外線が強いのは、紫外線を吸収するオゾン層が、オーストラリア付近で薄いためで、皮膚がんの発症率が世界一、70歳までには3人に2人が発症すると言われています。

政府は、1980年代には紫外線の健康被害予防のサン・スマート(Sun Smart)プログラムを導入し、国民に対して啓蒙活動を行ってきました。特に力を入れているのは、子どもへの紫外線予防の指導。子どもの時に大量の紫外線を浴びると、将来、健康被害リスクが高まります。

そこで、『スリップ・スロップ・スラップ・ラップ(Slip, Slop, Slap, Wrap)』というスローガンを掲げて、具体的な行動を示しています。

●スリップ 長そでのシャツを着よう!
(Slip on a long sleeved shirt!)

●スロップ 日焼け止めを塗ろう!
(Slop on some sunblock!)

●スラップ 首への日射しをさえぎる帽子をかぶろう!
(Slap on a hat that will shade your neck!)

●ラップ サングラスをかけよう!
(Wrap on some sunglasses!)

子どもが日中長時間過ごす学校では、きめ細かい指導が行なわれています。

○「ノーハット・ノープレイ」。帽子をかぶらない子どもが校庭で遊ぶことを禁止している学校がある。

○衣類、帽子、サングラス、日焼け止めは、どのようなものを選べばよいかをアドバイス。

衣類の生地は、ポリエステル・綿の混紡や、綿100%が紫外線を防ぐ効果が高い。

屋外では、8〜10cm(小さい子どもなら6cm)程度のつばのある帽子をかぶる。

帽子は反射する紫外線からは守ることができないので、サングラスの着用、顔や首に日焼け止めを塗ることを忘れないようにする。

○サングラスの着用を義務づけたり、サングラスの購入に対して補助をしている学校もある。

地域の施設でも日よけを作る努力がなされています。たとえば、子ども用プールの上にはテント、公園の遊び場の上には目の細かい網で作られたおおわれています。

同様のプログラムはアメリカ、カナダ、フランス、イギリスなど多くの国で行われています。

では、日本の学校での紫外線対策はどうなっているでしょう?

2015年9月に、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会が、「学校生活における紫外線対策に関する統一見解」を発表しています。その内容は、オーストラリアのサン・スマート(Sun Smart)プログラムに近いものになっています。詳しくは次回のブログでお伝えします。

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参考サイト

海外移住の地図帳
http://emigration-atlas.net/environment/ultraviolet.html

環境省発行「紫外線環境保健マニュアル」2015
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_full.pdf

太陽紫外線の状況 – 環境省
https://www.env.go.jp/earth/report/h21-02/3-1_chapter3.pdf

気象庁 UVインデックスとは
http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-50uvindex_manual.html

在日オーストラリア大使館 サンスマートプログラム
http://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/aust_sunsmart.html

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※UFPとは:Ultraviolet Protection Factorの略
世界でもっとも紫外線対策の歴史があるオーストラリア/ニュージーランドで定められた紫外線カットの評価基準のこと。素肌のまま20分程度で肌が赤くなる紫外線量を想定した場合、UPF45+は45倍の約15時間は日焼けを防ぐ効果があります。
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