藤枝 繁
昭和42年、大阪府堺市生まれ。鹿児島大学准教授。
1997年日本海でのナホトカ号重油流出事故の災害ボランティアに学生と共に参加して以来、海岸漂着ゴミを中心にした海洋ゴミに関する研究を開始。平成11年、市民による国際的な海岸ゴミ調査清掃活動である国際海岸クリーンアップキャンペーンを鹿児島でも展開しようと県内有志でクリーンアップかごしま事務局を設立。現在同事務局長。一方、シーカヤックのガイドとして鹿児島の海のすばらしさを広報している。
さて、海洋ゴミの影響について考えます。先ほど、ミッドウェイのコアホウドリの話をしましたが、この死んだ雛のお腹の中から取り出した、325本のライターを調査しました。きっとアメリカなどからも海流の関係で来てるだろうと思ったのですが、まったく無くて、6割が日本のライターでした。あまりにショックでこの事実をしばらく人に言えませんでした・・・。韓国のNGOなどもこのデータ使ってます。日本から見れば、韓国や中国からゴミがやってきて迷惑な話っぽいですが、実際、日本もかなりのゴミを太平洋に流してしまっているわけです。日本が太平洋に与えている負荷というのはかなり大きいと考えられます。
そして破片化の話です。
今日、皆さんが拾ってもらって気がついたと思いますが、小さな破片が多かったですね。海洋ゴミの特徴のひとつですが、破片化がどんどん進んでいます。1990年にクリーンアップキャンペンが始まった当初は破片類は30%程度だったんですが、現在は50%を超えてます。拾えきれなかったゴミが紫外線や風の影響でバラバラになってしまっているということですね。早めに拾わなければ手間がかかる要因になります。対馬では発泡スチロールの破片が1メートルも堆積してます。環境省の事業などで清掃していますが、非常に金のかかる話です。
続いて、食への影響です。マグロ船の船長の話では、マグロはプラスティックキャップなどけっこうプラスティックを食べているようです。ですが、築地に出て行く前に船の中で胃袋など全部取って冷凍してるので、消費者などが目にすることは無い。
これは鹿児島のチリメンジャコ網に微小プラスティックが混入している写真です。これを浜でおばちゃんたちが手作業で取り出します。あまりに混入量が多いと断念するケースもあります。チリメンジャコの値段にはそういう手間代も入っているわけです。
こちらは大分の海苔網に広島のカキ養殖用パイプがかかってる写真ですが、漁師さんが漁師さんに迷惑かけてる写真ですね。このカキパイプを除去するのも大変な作業です。実際、製品としての海苔の中にゴミが混入しているケースもあります。金属は金属探知機で発見して除去できますが、プラスティックを見つけるのはかなり難しいです。光にあてて異物混入してないか確認するらしいですが、見つけきれない場合もあるでしょう。皆さんも、海苔を食べるときはたまに光にかざしてみてください(笑)。