
藤枝 繁
昭和42年、大阪府堺市生まれ。鹿児島大学准教授。
1997年日本海でのナホトカ号重油流出事故の災害ボランティアに学生と共に参加して以来、海岸漂着ゴミを中心にした海洋ゴミに関する研究を開始。平成11年、市民による国際的な海岸ゴミ調査清掃活動である国際海岸クリーンアップキャンペーンを鹿児島でも展開しようと県内有志でクリーンアップかごしま事務局を設立。現在同事務局長。一方、シーカヤックのガイドとして鹿児島の海のすばらしさを広報している。
海洋ゴミとはどんなものでしょうか?
今日、クリーンアップを実施したので、皆さんはなんとなくわかったんじゃないでしょうか?今日使ったデータカードは、世界的に使われているものの日本語版ですが、日本で使用開始した1990年から増えてるゴミと減ってるゴミがあります。

まず、増えてるゴミ。これは、カキパイプ、破片ゴミ、ペットボトル、浮きフロートブイ、使い捨てライターとたくさんありますが、ほとんどのモノが増えています。逆に減ってるものは、缶ジュースなどのプルタブ。はずれるやつです。二十歳以下の方は知らないはずです。1990年にステイオンタブというはずれないタイプに変わりました。なので、このプルタブはほとんど拾えません。今日、拾った人いましたね?まさにそれはお宝です(笑)。
拾った人、ガッツポーズしてください(笑)。
まぁ、全体としてはほとんど増えてると思ってください。これが現状です。
次に海洋ゴミってどこから来るんでしょうか?
私はライタープロジェクトというのをずっとやってるんですが、このライターというのは「居酒屋しょうちゃん」とか「スナックあけみ」などの名前や、電話番号などが書いてあります。加えて製造国などもわかります。それで、拾ったところと、配布されたところを調べていくと、ゴミの流れがわかります。
これを南は与那国島から北は知床まで全国の海岸で調査しました。約4万本集めています。その一部をあらわしたのがこの図で、東シナ海は半分以上が中国、台湾のライター。それが、日本海に入ると、長崎、対馬、それから福井県ぐらいまでは圧倒的に韓国のライターばかりになります。その後は北にいくほど日本のものも増えてきます。知床まで来ると8割ぐらいまで日本のものになります。
太平洋側は、高知以東はかなり日本のライターです。父島、母島など小笠原は6割以上日本のライターです。ということは、日本から出ていくゴミはどんどん太平洋に流れ出ていると考えたほうがいいわけです。残念ながら。与那国島でも4割ほどの日本製があるということは、グルッと太平洋を周って来ている可能性が高いです。
瀬戸内海はどうかというと、二年間、瀬戸内海の各所でライターを拾ってもらいました。その結果、香川の東かがわの浜辺で拾ったライターがどこで配布されたものかというと、もちろん四国の中もあるんですが、兵庫や大阪からも多数流れてきてます。淡路島の大阪湾側で拾ったライターは奈良県や京都から流れてきてます。どうも内陸から川を伝って出てきてるようですね。他、ゴルフボールでも調査ができます。
昨年、瀬戸内海中の河川を1,200kmほど、どこにゴミがあるか自転車で調査してまわりました。香川も香東川を犬に四回追いかけられながら調査しました。死ぬかと思いました(笑)。ほんと川にもゴミはいっぱいあって、大和川の場合、大阪もかなり汚いですが、奈良県はもっと汚い・・・。
内陸の人たちは海に対してどうとか、ゴミを棄てるとどうなるかとか意識がないのかなと考えさせられました。