ライフスタイル [ニュージーランド歯をくいしばってのんき暮らし]

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文:Ryoko
写真:リュウ・タカハシ
2012年2月16日



 エルダー(Elder)という植物があります。 ラテン名 Sambucus nigra、 和名は セイヨウニワトコ (*)
 その成長著しく どんな土地でも文句を言わず茂り 剪定した枝を挿しておけば ほぼ100%発根。 
 春にはクリーム色の小さな花が集まった傘状花序がボンボンと開き 初秋には真っ黒の実が 枝も折れんばかりにフサフサと生る。 野鳥その実を好み どこへでもポットン。 そこからまたたぶん発芽しているのでしょう。 おまけに ひこばえまでどんどん伸ばし 勢力範囲をますます広げる 我が庭の 一二を争う成功植物。 



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* ちなみに 日本に生えているニワトコは Sambucus racemosa subsp. sieboldiana:セイヨウアカミニワトコ だそう。 こっちのエルダーは黒い実(nigra)です。



 もちろん こういう過激繁茂系植物は 近代ニュージーランドの園芸家からは 煙たがられ 「迷惑植物」として公的に指定されていたりもします。

 伝統的には この木 ある国では魔よけ。 またはその逆で 花を除く全草微量青酸毒だからか キリストの弟子ユダが首をくくったのがこの木だからか (ちなみに木質はとてもゆるくすぐ折れるので 首をくくっても失敗しちゃうんじゃないかと 思うんですが・・・) ある国では 不吉な植物だったりするらしい。 何しろ ものすごく古くから人間の文化に深く関わってきた このエルダー。 その 要因は やはり その花から いとも簡単に発泡酒ができちゃうから じゃないでしょうか。 (いつもながら強引な展開・・・)



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 なんだか 私 お酒ばっかり作っているみたいですが それは気のせいです。

 さて このエルダー 春になると レースフラワーをごっつくしたような 花が咲きます。 よく マスカットのような香りの花と言われますが ナマの花をそのまま嗅いでも キュウリを粉っぽくしたような臭いにしか私には感じられません。

 エルダーフラワーが咲き始めましたら まず隣のドイツ人宅に行って 「レモンちょーだい」と 物乞いをします。 ドイツ人 農薬嫌いですから このレモン とても安全。



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 そうしましたら 天気の良い昼間を選んで 良く開いてはいるけれど 開花してから間もないエルダーの花を収穫します。 大きい花序(直径20センチくらい)のを7~8個。 そして よく振る。 シェイク シェイク。
 すると 粉ダニのようなのとか 小さい甲虫とかが ヒエ~というくらい出ます。 ま これくらいでいっか~ くらい振りましたら 準備OK。 まちがっても殺虫剤なんかスプレーしてはいけません。



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 さて そこで 取り出だしたる大きめのホーロー鍋。 その中で 2リットルの熱湯に砂糖350グラムを溶かし、 そこに1リットルの冷水を加えて全部で3リットルの温い砂糖水を作ります。 人肌までさめたらそこに ドイツ人からもらったレモンの皮と絞り汁2個分を 投入。 ほろ苦さが欲しい時は 半個分をスライスして投入しても。



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 で おもむろに 先ほどテキトーに除虫いたしましたエルダーの花をお砂糖レモン水の中にバササッと 入れます。 レモンと出会って初めて エルダーフラワーからマスカットのような香りがしてきます。
きれいなお箸か何かで 花をしっかりと液体の中に水没させ ショウジョウバエが 入り込まないように 蓋をして そのまま24時間待ちます。 時々蓋を開けてはシャブシャブとかき混ぜると なおよろしい。

 さて 24時間経過。 子供のおままごとのような この液体をさらし布を通して漉し(ここで水面にたゆたっていた粉ダニの残りなどが漉し取れるというわけです!)  白ワイン酢 大匙2を加え ペットボトルに入れて キャップをしめて はい おしまい。
1週間から10日後くらいから飲み始められます。



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 そ これだけなんです。 基本的にイーストを加えません。 花にくっついていた自然酵母で ウソのように湧く(発酵する)ので 2~3日に1度 キャップを用心しいしい緩めて ガス抜きをします。 これを怠って キャップがどうにも開かなくなり ボトルも立っていられないほどパンパカパン、 になったことがあります。 (結局 モンキースパナで キャップ緩めました・・・)

 ただ 何かの加減で 待てど暮らせど発酵が始まらないこともあります。 そういう時はあわてず騒がず 各ペットボトルにつき 1つまみのイーストをパラパラして またキャップを閉めておきます。(私は ボトリングしてから 3~4日を見極め時にしています)

 シャンペンという名前ですが 閉鎖発酵なので アルコール分はほとんどなく ちょっと濁って しかも少し粘度のある キリンレモン+αのようです。 同じ発泡酒でも おじさんのビールとちがって こちらは 淑女の飲み物と言った面持ち。 良く冷やして 初夏のピクニックに絶好です。



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 ただし 爆発物に近いほど内圧があがっていることが多く 開封前に グラスなど 前もって準備しておかないと もたもたしている間にドブブブブ~とボトルから溢れてしまうことうけあい。 レモンのお礼にと お隣へ持っていくときは Highly Explosiveの旨 ちゃんと伝えてから渡しています。



 さて 実は日本にも 自然酵母を利用した「松葉サイダー」なるものがあるのだと 前に一度読んだことがあります。 一升瓶に若い松葉をぎっしり詰めて 砂糖水を入れて蓋をしておくと さわやかなサイダーになるのだそう。 これ エルダー・フラワー・シャンペンと全く同じ 微アルコール発泡飲料ですね。

 チクチクしていたり フワフワしていたり ザラザラしていたり デコボコしていたりする 花や葉には 大抵 自然酵母がくっついています。 もしかしたら 赤つめ草や ラベンダー タンポポ 八重桜 はたまた キンモクセイなんか 可能性を秘めているんじゃないか? 最初から閉鎖発酵じゃなくて 途中まで開放発酵させたらどうだろう? 色々想像力を刺激して止まない 自然酵母を使ったシャンペン作り なのであります。

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コメント

お久しぶりです。お元気ですか。
モノ作り素敵ですね。
自分は相変わらず。なんとか仕事して、たまに学生時代の仲間とも会ったりしてます。

わややん! 猛烈にご無沙汰しています 元気? 3番目も3歳半 自分の時間が結構出来てきて モノ作りあれもこれも またもや手を出していきそうな雰囲気です。 ふふふ
って 子供にもっと手をかけていくべきか・・・

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