ライフスタイル [ニュージーランド歯をくいしばってのんき暮らし]
ご教訓ビール作り
文&イラスト:Ryoko
2009年6月2日
「ニュージーランド(以下NZ)は自家醸造(ホーム・ブリュー)が盛んなのだそうだ」「でもってNZ人(以下キウィ)は親切なものだから、何かのついでにすぐ手作りビールをすすめてくれるそうだ」「時にはたいへんなハズレもあるそうだ」...。こんなうわさのような話をどこかで耳にして、「私もマイビール作っちゃったりして~」と訪NZ。初ビール作りは、'99年5月中旬のことでした。

5月...。そう、お気付きになられたかもしれませんが、南半球のNZは、日本と季節が逆。「秋深し、時々霜もおりますよ」という時期なので、もうそこは、迷うことなく「気分は寒仕込み」。しかし...。

教訓その1:
エールやスタウトなどの、英国式ビールの酵母が元気に働ける温度は、人間のそれとよく似ています。極寒、酷暑を避けて作るとスムーズに行きます。(*)
私の醸造バレルは、こちらのホーム・ブリューの標準サイズ40パイント(約23リットル)。そう「エビオス・コーラ」が一升ビンになおすと12本とちょい...。ええ、飲みましたとも。あまりにすごいので、話題のネタにと、会う人来る人、ほとんど全ての方に、ほぼ無理矢理に飲ませ...。スイマセンでした。
この時、「失敗ビールは市販の安ビールで割って飲むといい」というキウィ流ホーム・ブリューの常識も教わりました。
教訓その2:
失敗ビールはめげずに市販ビールで割って楽しみましょう。そして、それを笑って飲んでくれる友人を大切にしましょう。
月日は流れ、その間に、ボトリング時にトウガラシやらなんやらを投入した「ヤミ鍋」風、仕込み時に加える糖分をハチミツなどで代用した「ナチュラル」風、ビールの素を2缶使って作る「オールモルト」、地元はホップの産地なのでホップをたっぷり足した「エキストラ・ホップ・ダーク・エール」(実はこれ母乳の出がよくなったらイイナーと作ったものですがきいたかどうかははっきりしません)などなど、色々作っているうちにだんだん「OK!」というのが出来るようになると...又、人に飲ませたくなるのですね。その頃は、我が家からの「ちょっとお礼」というのが、手製ビール半ダースということが多かったです。そうして、ちらほらと差し上げていたある日の事、ポンと花咲くホーム・ブリューの話題。40代後半の友人曰く「ホーム・ブリューって言えば、昔おやじが物置でアップルサイダー(日本の「シードル」ですね)作っててさ。それが夜中に「ボンッ」っていって爆発してさ~。あ~なつかし~。え? あ、オレねティーンになってから物置で寝てたからさ(**)。ホーント、ビックリすんのよ、あれ。」そして続けて「でもさ、これってRyokoが作ってんの?」うん、そう。趣味? かな。「ギャーッハッハッ女性でホーム・ブリュー趣味って人、初めて見た~。ふつうはオッサンがやるんだよお。(爆笑止まず)」......そ、そうでしたか。ウカツでした。私、自分はおばさんだと思ってたんですが、NZに来て、とうとうオッサンになってしまっていたのね。ううう。
教訓その3:
ホーム・ブリューは正統派「オッサン」のホビーです。

さて、私はビールを仕込む時、必ずビールの素缶のラベルをピロピロはがしてから始める事にしています。そして、そのラベルの裏に、仕込みの日付け、何をどれほど投入したのか、ボトリングの日付け、などを書き込み、そして「発酵食ノート」というのに、はさんでとっておいてます。
「寒仕込み」の反省のあと、私のビールの仕込みは、毎年春たけなわの10~11月に集中するようになりました。仕込みからボトリングまで7~10日、ボトルの中で二次発酵させておいしいナとなるまでに2~3週間。ホーム・ブリューはだいたい一ヶ月で出来上がり。そうなのです、10~11月の仕込み分はクリスマス・ホリデー(NZでは夏休みにあたります)用。日本だったら、今くらい、5~6月が丁度よさそう。ビールを仕込んで待つ夏休み、ですね。
教訓その4:
ビール作りは一ヶ月ほどかかるので、「ビールが欲しいと思うだろうなぁ」という時期から逆算して作り始めます。又、ボトリング時期には忙しいイベントなどのない比較的余裕のある週を当てると気分が楽です。

P.S.1:
その後ちょっと勉強して、ビールにも「寒仕込み」酵母があるのを知りました。ドイツ式「下面発酵」ビールが、そうなのだそうです。うーん、知ってしまうと酵母が欲しくなってしまう...。
P.S.2:
ティーンの男の子が物置で寝起きするのは、おしおきではなくて、NZではよくある「スリープアウト」というものです。もうそれはティーンですから、色々とアレでございますので、家からちょっぴりだけ出るようです。
P.S.3:
ここまでビール作りの話をうかうか書きつつ、とても心に引っかかるのが日本の酒税法。「私はNZに居るし、なんだかすごく無責任な事、書いちゃったのかなぁ。でも、e4SHOPでもハンズでも『手作りビールキット』って売ってるじゃない。そこのところはどうなってるの?」と日本国憲法を専攻していたハズの我が編集さん(リュウ)に質問を投げかけたところ「アルコール分が1%未満のレシピで売ってるから、ひっかからないのでしょう」との回答。なる程、要は仕込み時に加える糖分の問題ですもんね。レシピで問題回避してるのかぁ。あったま良い~。それにしても「発酵食天国:ジャパン」で自家醸造を禁ずるなんて、ものすごく不自然だなとイカンに思いますわ。

↑Ryokoのおすすめ教科書↑
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