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足が驚く - ファイントラック・スパイルフィルTMランニングソックス

文:リュウ・タカハシ
2009年10月15日

 以前tekoのソックスをご紹介した。いまだにコイツはとっておきのソックスとして大事に使っている。今回日本に行ったときに、もう一組か二組手に入れてこようかと思っていた。
 ところがひょんなことから、別のソックスが手に入ってしまった。ファイントラック・スパイルフィルTMソックス・シリーズの軽量薄手のモデルスパイルフィルTMランニングソックスだ。

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 日本最大手のアウトドアブランドで数々の画期的ヒット商品を手がけた金山氏が独立して起ち上げたこの会社の生い立ちなどは、すでに語りぐさになっているから今さら僕が書くまでもないだろう。

 実をいえば同社の名が世にとどろくきっかけとなったフラッドラッシュは、僕も数年前に入手して仕事で使ってみたのだが、残念なことに機能面でも耐久性の面でも僕の仕事のスタイルには今一歩のところで力不足気味で、フリルネックU.T.E.のような「これじゃないと仕事にならん!」という孤高のエースの座を占めるにはいたらなかった。 ただ着眼点のユニークさや素材のポテンシャルなど、これから完成度を高めていけば文句なしのNo.1になる可能性はじゅうぶんに感じられたので、このブランドの動向は今にいたるまでずっと注目し続けている。

 さて、問題のスパイルフィルTMソックスだが、一瞥しただけだと、最近よく見かけるスポーツ系高機能ソックスと同じに見えるかもしれない。ところがもうちょっとよく見ると、アッと驚く金山マジックのこだわりが見て取れる。
 たとえば人間のくるぶしって、外側と内側では位置が違うなんてこと、普通の人は意識したことがないと思う。少なくとも僕も「あぁ、確かにいわれてみれば、内側のくるぶしの方が前よりだなぁ」という程度。
 金山氏は、こういうところを見逃さない。くるぶし部分が他の場所と織りを変えてあるのはもちろんだが、このくるぶしの位置の微妙なずれまでキチンとデザインに盛り込んであるんだから、恐れ入るやらあきれるやら(ただしこの強力なくるぶしホールドがつくのは、アルパインソックスとスキースノーボードソックスだけで、僕が入手したランニングソックスには残念ながらついていない)。

 ここまで徹底したデザインのソックスのフィット感が悪かろうはずがない。この手のソックスだと、10年ちょっと前に買ったソロパッズをいまだにだましだまし使っているが、スパイルフィルTMソックスの進化ぶりはまさに隔世の感がある。

 tekoソックスは「ものすごく履き心地とフィット感の良い衣類」という印象で、履き心地の良さが常に感じられる。
 ところがスパイルフィルTMソックスは、もはや衣類の域を超えて第二の皮膚といった趣。履き心地が良いとか悪いとかという次元ではなく、履いていることを忘れる。他の人はいざしらず、裸足派でソックス嫌いの僕が忘れるくらいだから、こりゃただごとではない。まぁteko エコメリノウールに比べるとスパイルフィルTMランニングソックスの方が確かにちょっと薄手ではあるが。

 日本 - NZ間のフライトは約11時間。足のむくみがちな機内でこの長時間を堪えしのばなくてはならないのだから、ソックスのチョイスはけっこう重要かもしれない(と思うようになったということが、歳を食った証拠かもしれない)。
 往路(日本行き)は、もちろんtekoを選んだ。快適だった。本当は機内では裸足になりたい(過去は必ず裸足になっていた)僕が、ずっと履いたままで平気だったんだから、やっぱりすごい。
 しかし復路(NZ行き)はスパイルフィルTMソックスを試してみた。やっぱりソックスをはいてるの忘れてしまい、裸足になりたいなどとは微塵も思わなかった。家に帰り着いて脱いだとき、初めて「あぁ、やっぱソックス履いてたんだ」とあらためて再確認したほど。

 進化してるのは水着だけじゃない。ソックスだって飛躍的に発達してきている。
 さて、いったいどこまで進化するんだろう? やっぱりしばらく目がはなせない。



 ◎ファイントラック

 ◎ファイントラック・スパイルフィルTMソックス・シリーズ

 ◎ファイントラック・スパイルフィルTMランニングソックス



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