コラム [Viva New Zealand]

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缶ビールでローストチキン!?

写真&文:リュウ・タカハシ
2011年2月14日

 夏休みになったら、子供たちをキャンプに連れて行ってやろう、BBQもたくさんやってあげようと張り切ってたんですが、大怪我しちゃって全部パー。夏休みが終わった頃に、ようやく動けるようになってきたので、近所のホームセンターのBBQ売り場を物色しました。
 すると、何やら怪しげなパッケージが......。
 僕のアンテナがうずきます。このアンテナ、自分でいうのも何ですがなかなか高性能でして、過去にフリルネックU.T.E.サーメットなんかを発見してるわけです。今回も何やらいけてる物品の気配がムンムンと......。



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 アヤシサ大爆発のパッケージがそそりますねぇ。いいじゃないですか、このキッチュさ。
 とはいえ、デザインだけにひっかかったわけじゃありません。光っちゃっててハッキリ読めませんが、商品名が「BEER CAN CHICKEN ROASTER」なんです。真ん中には、お尻にビール缶をブスッとされて立っているローストチキンのイラスト。
 なんじゃこりゃ!?
 ビール缶チキンロースター!?
 缶ビールでローストチキン!?

 手に取ってみると、どうやらビールを半分ほど飲みのこした缶の上に丸ごとのチキンをかぶせてそのまま加熱し、ビールの蒸気で内側を蒸し焼きにしながらローストするというシロモノのようです。
 メチャクチャ面白いじゃないっすか、それ! よし、買った!

 実はそんなに目新しいアイディアじゃないみたいで、四角い大きな鉄皿の真ん中に鉄の円筒型ビール缶ホルダーのついた、しっかりした作りの類似品も発見。ちょっと迷いましたが、怪しいパッケージにひかれて、ってのはウソ、値段の安さにひかれて(しっかりした方は倍額)、ってこれもウソ、ホントは折りたたみという言葉に弱いアウトドアズマンゆえに結局こちらを購入。



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 なんとも簡素です。これでNZ$15、現在のレートがおよそNZ$1=¥63なので、だいたい¥1,000ですね。日本なら妥当な値段かもしれませんが、こっちの$15ってのはもう少し高いイメージなので、高いのか安いのかちょっと微妙な感じ(しっかりした類似品が$30ってのは、割安感がありましたが)。



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 組み立ててみました。ってほど大げさなもんじゃありませんね。
 特に意外な仕掛けなんぞはないんですが、テッペンの交差するところに溝が切ってあって、キチッとはまるところは好感がもてます。神は細部に宿るんです。



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 ビール缶をセットしてみました。ここに、チキンをスッポリかぶせてローストしちまう、というわけです。なるほどねぇ。

 ローストチキンって、どこを下にして置くかってのが大問題ですもんね。古代ローマの時代から、ことあるごとに議論の種になり、第一次世界大戦の発端にもなったという古典的大命題、ってのはもちろん大嘘ですけど、ともかくこのガジェットを使えば、ローストチキンの向きを気にする必要から解放されちゃいます。
 しかもビール効果で柔らかくジューシーな仕上がりが期待できますよね。心憎いじゃありませんか。

 ではさっそくやってみることにします。怪しいパッケージの裏面には、いくつかレシピのヒントが出てたんですが、とりあえずシンプルに
 ◎缶の中に半分残したビール
 ◎叩きつぶしたニンニク数片
 ◎オレガノ少々
っていうのでいくことにしました。ビールの代わりにワインを使うレシピも気になったんですが、それはまた次回のお楽しみ。
 もちろんチキン本体には、表面にも腹の中にも塩コショウをたっぷりすり込んでおきました。



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 いよいよチキンをビール缶にかぶせて、BBQグリルへ!
 なかなかユーモラスな姿です。これなら串に刺してグルグル回すなんて手間もいりません。えらいなぁ、誰が考えたんだろう?

 が、しかし、いきなり問題発生......。
 我が家の小型BBQグリルだと、チキンがつっかえちゃってフードがちゃんと閉まりません。当然ながらフードの裏についてた煤が、チキンのテッペンについてしまいました......。

 でもここで引き下がるわけにはいかないので、フードをぐいぐいと押して、むりやりチキンの背を縮め、なんとか収まっていただきました。煤も別に毒ってワケじゃないので、気にしないことに。



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 まだこのBBQグリル自体を使い慣れてなくて、炭火を安定させるのにてこずりましたが、そのうちだんだん良い焼き色が!
 缶の中でビールが沸騰してくると、ニンニクとオレガノの良い香りが広がります。そしてチキンの脂が炭に落ちてジュッと香ばしい煙が立ち上り、いやぁ、もうたまらりらりませんがな、ラリラリ。

 焼き上がったチキン、絶品でした。予想通り、ビールの蒸気でお肉はとっても柔らかくジューシーな仕上がり。チキンはぱさつくなんて、誰が言った?  ニンニクやオレガノの香りもほどよく染み込み、最初にすり込んだ塩コショウの味付けだけで完璧。タレもソースもいりません。皮はといいますと、炭火ですっかり脂が落ちて、パリッパリのムフフな仕上がり。
 翌日よく冷めたところで、甘いチャツネをつけてローストチキンピタパンサンドイッチにしたんですが、これがまた仰け反るほどの傑作。いやぁ、ますますこりゃたまらりらりませんな、ラリラリ。

 今まで食べたローストチキンの中でも、間違いなくトップクラスの出来です。
 やったことある方はご存じのように、ビーフにしてもチキンにしても、ローストってのはそこそこの味にするのはそんなに難しくないんですが、メチャクチャ美味しく仕上げるにはいささかの研究と試行錯誤が必要です。でもこのビール缶ロースター使ったら、いとも簡単に五つ星級ができちゃいました。なんてあっけない。

 小さな子供が三人いると、一人は食べ物に文句つけるんですよね。全員が喜んで食べるのって、ジャンクフードかお菓子くらいのもんだったりします。
 でもこのチキンは、全員があっという間に平らげてました。

 今回はBBQグリルでやりましたが、キッチンのオーブンでもこのビール缶ロースターは活躍してくれるそうです。皮のパリッとした仕上がり具合こそ炭火にはかなわないでしょうが、お肉だけなら同じような頬ッペタ落下注意報発令ローストが出来るはず。もちろんアウトドアズマンが大好きなダッチオーブンでも使えると思います(高さの問題がクリアできれば......)
 これで$15なら、安い買い物でした。

 でも、チキンがつっかえてBBQグリルのフードがちゃんと閉まらないのは、チトいただけません。たまたま翌日、別のホームセンターに出かける用事があったので、またもやBBQ売り場へ。そうすると、お隣のオーストラリア製の別バージョンを見つけました。そうかぁ、やっぱりポピュラーなアイテムだったんだ。知らなかったなぁ、ウカツだったなぁ。
 こちらは背が低いので、さっそく購入。



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 地味なパッケージだなぁ。ちょっと物足りない気もしますが、まぁ味には関係ありませんし、一般的にはこちらの方が美味しそうなデザインかもしれませんので、気にしないことにしましょう。
 折りたたみ出来ませんので、お値段はさらお安くNZ$7。これってちょっと安すぎませんか?



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 ビール缶セット。折りたためないので、安定感はバッチリ。とはいえ、最初の折りたたみ式のだって、安定性にはまったく問題なかったんですけどね。でも心理的にやっぱりリジッド方式の方が安定してるように見えちゃうもんですね。



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 並べてみると、こんな感じ。ビール缶は同じ高さですが、折りたたみ式は缶の上にドーム状のワイヤーがあるので、その分チキンの背が高くなっちゃいます。右のタイプなら、問題解決です。

 これからしばらく、我が家はローストチキンの出番が増えそうです。いやぁ、良い買い物したなぁ。

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