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身近に感じる危機

文・写真: 内田一成

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 6月の終盤に那須二期倶楽部でツリーイングの体験会を開催した後、7月には白馬で体験会とワークショップ、8月にはまた二期倶楽部の「山のシューレ」イベントのプログラムとして体験会、さらにまた白馬で体験会の後に、ツリーイングインストラクター講習と、2ヶ月の間、今までになく木に取りついていた。

 今年の夏は、関東では例年になくはっきりした梅雨明けが訪れたと思ったのもつかの間、また戻り梅雨のような天気となってしまい、気温も上がらず、気がついてみれば、秋風が吹くようになってしまった。

 気候の乱れのせいか季節はずれのインフルエンザの流行は見るし、人もあまり元気がない。

 木に取りついていると、樹木もこの気候のせいで元気を失っているのを感じる。

 那須でも白馬でも、そして北関東のツリーイングホームグラウンドがある桶川でも、例年になく枯れ枝が目につき、苔やキノコが繁茂して、今まで何十年も順調に育ってきた木が立ち枯れしたり、害虫がついている木も多かった。

 木にロープを掛けてぶら下がると、そのしなりや、触れたときの樹皮の感触から、微妙な木の健康状態も伝わってくる。そんなときにも、やはり、病みかかっている樹木が多いことがわかる。

 環境問題を云々するとき、温度上昇やら海面上昇のデータなどがよく引き合いに出されるが、パワーポイントあたりで作られたグラフをプロジェクターで見せられても、それは、自らが危機に直面しているという「皮膚感覚」には、なかなか訴えてこない。

 だが、樹木に触れてみれば、すでに身近で自然界の衰退がはっきり現れていることに否が応でも気づかされる。

 あまり一般には知られていないが、白馬にはいくつも巨樹巨木がある。先日は、ツリーイングの後で巨木の一つ「峰方の大杉」を訪ねた。

 「雨降宮」という別名を持つ峰方神社の境内には杉の巨木が林立しているが、その中でももっとも大きい木は、樹齢が1000年を越え、幹周りは6mに達する。縄文の火炎土器を思わせるような、太く力強い枝が燃え上がるように四囲に伸び上がっている。

 その、この土地の地霊がそのまま立ち上がったような神木も、ふと元気を無くしているように感じた。老木ながらほとんど枯れ枝もなく、葉の茂り方にも異常はないのだが、根もとから幹を見ると、苔が急速に這い登って行っているように見える。そして、樹皮の「張り」 のようなものが失われつつあるように......。

 こうした大地の魂そのものといえるような生命が失われるとき、儚い生涯しかない人類など、ひとたまりもなく滅んでしまうのだろう。

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